そろそろ会社には、
税務署から年末調整の書類が送付され、
皆さんのお手元には、
保険料の証明書が送付されたりして、
年末調整を意識する時期になったと思います。
そこで、
年末調整の時に、
注意してくださいということで書きます。
先週、
ある会社で、
源泉所得税だけの調査を3日間実施しました。
源泉所得税だけを3日間実施するので、
調査を担当する税務署職員の知識は、
詳しいし、
また、
実施した調査内容も、
通常の法人税や消費税の調査の中で実施する源泉所得税の調査と比較すると、
細かい点まで調査を実施しました。
会社が実施した年末調整の内容についても、
詳しくチェックをしていました。
いくつか指摘をされましたが、
その中から、
2点をご紹介します。
1・住宅借入金を借り換えたとき
住宅借入金を借り換えたときには、
一定の要件を満たせば、
従来通り、
住宅借入金による所得税額の控除が受けられます。
しかし、
「新借入金を借りる直前の旧借入金の残高」
<
「新借入金の残高」
の場合には、
借入金残高の調整が必要となります。
詳細は、
国税庁のこのページを見てください。
年末調整の担当者が難しいのは、
年末調整の書類を社員の人が提出する際に、
「私は、
住宅借入金を借換えをしました」と、
年末調整の担当者に通知をしないので、
年末調整の担当者が、
自分で借り換えをしたことを見つけ出さないといけません。
では、
どうやって、
住宅借入金の借換えをしたことを年末調整の担当者は、
発見するか?
まず、
住宅借入金の控除を受けると、
税務署から各納税者に、
「平成*年分給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」という書類が送付されます。
社員の人は、
毎年、
この書類を年末調整担当者に提出するわけです。
この書類には、
下のほうに住宅借入金の控除の適用を受けた年が記載されています。
一方、
お金を借りた金融機関からは、
各納税者宛てに、
住宅借入金の控除の計算に必要な、
借入金残高を記載した残高証明書が送付されます。
この残高証明書にも、
借入金を借り入れた初めての年が記載をされています。
したがって、
借入金の借り換えをしていなければ、
税務署発行の書類と、
銀行から送付された残高証明書は、
適用を受けた年=借り入れをした年で、
一致をしています。
ところが、
借入金の借り換えをすると、
税務署発行の書類と、
銀行から送付された残高証明書で、
適用を受けた年と借り入れをした年で、
一致をしないことになります。
具体的には、
税務署発行の書類には、
「平成18年分の所得税について適用を受けた」と記載されているが、
銀行から送付された残高証明書には、
「当初の借入金」の年が「平成21年」と記載されているなら、
平成21年に借り換えをしたことになります。
一致していないことを発見したら、
社員本人に、
「新借入金を借りる直前の旧借入金の残高」
<
「新借入金の残高」
となっているかどうかを質問して、
もし、
「YES」なら、
調整計算を実施しないといけません。
2・地震保険料控除
平成18年の税法改正で、
損害保険料控除の制度がなくなり、
平成19年より地震保険料控除の制度が創設されました。
ただし、
経過措置として、
一定の条件を満たす長期損害保険料については、
経過措置として、
保険料控除が受けられます。
ただし、
地震保険料は、
所得控除の最大金額が、
5万円ですが、
旧損害保険料の場合には、
最大金額が1万5千円となっています。
詳細は、
国税庁のこのページを見てください。
年末調整担当者が、
旧長期損害保険として処理しないといけないのに、
地震保険として間違えて処理してしまう場合があります。
こんな間違いをしないためには、
保険会社から送付される証明書を良く読むことが必要です。
具体的には、
保険会社から送付される証明書の表題には、
「地震保険料」の証明書となっています。
しかし、
表題だけ見て判断をしてはいけません。
旧長期損害保険料に該当する場合、
保険会社から送付された証明書の欄外の注記に、
「小さな字」で、
この保険は、
旧長期損害保険料に該当すると書いてあります。
つまり、
表題だけを見るのではなく、
欄外の注記に、
旧長期損害保険料に該当すると書いていないかを読まないといけないということになります。
年末調整担当者は、
短時間で多くの人の年末調整をしないといけないので、
大変です。
しかし、
個人の所得の金額に関する事なので、
間違いはあってはいけません。
これから、
税務署主催の年末調整の説明会等があると思います。
このような説明会や研修会に出席して、
知識の再確認や去年との変更点などを、
きちんと確認しておいてください。