監査法人は、
内部統制関係の売上が減り、
一方、
法人内の審査体制を強化しないといけないので、
人件費などの経費が増え、
その経営状態は厳しいと言われています

。
もっと露骨に言えば、
自らの経営状態が悪いので、
他社(お客様)の経営指導をする資格がないとも言われています

。
さて、
実際に、
監査法人の決算書を見て、
その経営状態を確認して見ましょう。
まずは、
有限責任監査法人トーマツ(以後、トーマツ)の決算書が、
12月16日(木)に、
発表されました

。
「
業務及び財産の状況に関する説明書類第43期」を見てみましょう。
トーマツは、
9月決算です。
以下で、
2009年9月期と、
2010年9月期の数値を見てみましょう。
まずは、
貸借対照表です。
資産合計は、
約512億円から約452億円に減少しています。
金額の大きい資産は、
現金預金で、
約161億円から、
約119億円に減少しています。
金額の大きい負債では、
退職給付債務が、
約180億円から約137億円に減少しています。
退職給付債務の減少は、
付属明細書を見ると、
退職者が発生したことのほかに、
企業年金制度への掛け金の支払い等によると書いてあります。
なお、
自己資本比率は、
約33%から約40%に改善しています。
次に、
損益計算書です。
売上は、
約863億円から約801億円で、
約7%減少です。
しかし、
人件費と販売管理費は、
約853億円から約806億円と、
約5%しか減少していません。
そのために、
営業利益は、
2009年9月期は、
約9.9億円の黒字だったのに、
2010年9月期は、
約5.8憶円の赤字となってしまいました

。
なお、
費用で金額が一番大きいのが、
人件費です。
約687億円から約650億円に約5,4%減少していますが、
売上の減少幅のほうが大きかったということになります。
付属明細書には、
費用の明細が記載されています。
人件費に関しては、
月給に該当する報酬給与は、
約440億円から約460億円に増えていますが、
賞与は、
約75億円から約52億円に減少。
そして、
2010年9月以降に支払う賞与引当金も、
約28億円から約26億円に減少しています。
つまり、
トーマツの従業員のみなさんは、
月給は下がってないけど、
ボーナスが少なくなっていると想像できます。
したがって、
年収も下がっているのではないでしょうか

。
さて、
このままだと、
トーマツの2010年9月期は、
赤字決算となってしまうので、
保険金を解約して、
約23億円を特別利益に計上して、
税引後の当期純利益は、
約9億円の黒字としています。
税引き後の当期純利益を赤字にしたくないというトーマツの意思が伝わる決算内容です

。
問題は、
2011年9月期です。
はたして、
営業利益で黒字を計上できるのでしょうか?
売上の増加は難しいでしょうから、
さらに、
人件費を削減するしかありません。
もっとも、
監査法人は、
人が唯一の財産であり、
収益を生む源です

。
人件費の継続的な削減は、
従業員のやる気を失わせます

。
そうすると、
従業員全員の一律の年収ダウンを避けるためには、
稼働率の良くない幹部職員や従業員を、
指名解雇する方法を実施するというのが、
リストラの定番コースです。
トーマツは、
どうするんでしょうか

。
ここで、
トーマツより早く、
指名解雇等のリストラ策を実施した新日本有限責任監査法人(以後、新日本)の決算書を見てみましょう。
新日本は、
6月決算です。
新日本の「
業務及び財産の状況に関する説明書類第11期」を見てみます。
顧客数は、
新日本が、
約4,100社、
トーマツが、
約3,700社なので、
新日本が多いということになります。
資産は、
新日本が約576億円なので、
トーマツの約452億円より大きいです。
現金預金も、
新日本が
約161億円なので、
約110億円のトーマツより多いということになります。
しかし、
新日本の自己資本比率は、
21%なので、
約40%のトーマツよりは、
悪いということになります

。
売上高は、
新日本は、
約984億円。
そして、
原価と販売管理費を差し引いた営業利益は、
約27億円の黒字。
これは、
新日本が、
1期前の平成21年6月期で、
営業利益も、
当期純利益も赤字だったので、
2期連続の赤字を避けるために、
トーマツより早く、
経費削減をした結果です。
なお、
新日本は完全に健康体になったわけではなく、
特別損失に、
約17億円の「構造改革費用」が計上されています。
「構造改革費用」とは、
人員の指名退職などに伴うリストラ費用です。
新日本は、
報酬給与約499億円(売上に対する比率は、50.7%)、
賞与約82億円(売上に対する比率は、8.3%)です。
なお、
トーマツは、
報酬給与約447億円(売上に対する比率は、55.8%)、
賞与約52億円(売上に対する比率は、6.5%)です。
監査法人の最大のコストが、
人件費ということを考えると、
新日本は、
まだまだ賞与を引き下げる余地があり、
トーマツは、
月給部分を引き下げる余地があるようです

。
さて、
監査法人の経営は厳しい状態ですが、
当事務所も他社の経営について、
コメントしている余裕はありません

。
会計事務所業界は、
監査法人と異なり、
非上場の中小企業をメインの顧客としているので、
報酬単価も、
顧客数も、
減少傾向。


一般的には、
顧客数が増え、
売上が増えたとしても、
利幅の確保が困難です

。
12月も残り10日ほど。
がんばろう

。
Posted by cpiblog01033 at
20:43
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