沖電気工業(通称OKI)から、
「当社海外連結子会社の不適切な会計処理に関する調査結果等について 」という報告書が公表されました。
全部で、
64枚という力作です

内部監査を担当している部署の人や、
監査役の人は、
お時間のある時に、
ご一読されることをお勧めします
。

当該調査結果の概要は、
沖電気工業(以降、OKI)のスペインの連結子会社で、
不適切な会計処理が発見され、
調査した結果、
平成19年3月期から、
平成25年3月期第1四半期までの6年3か月間の累計で、
売上高が、
75億円の損失、
営業利益が216億円の損失、
当期純利益が308億円の損失、
純資産が244億円の減少になることが判明したそうです
。

なんでこんなことになったかというと、
このスペインの子会社の社長が不正の首謀者で、
売上債権が回収不能であることや、
債務の未計上が判明したとのことです。
この報告書によると、
不適切な会計処理は、
主に以下の3つの内容から構成されているようです
。

1
業績目標を達成するために、
販売会社に押し込み販売をして、
債権回収できなくなり、
不良債権となってしまった。
この不良債権を隠ぺいするために、
売上を取り消して、
再度、
新しい日付で請求書を発行し、
債権回収が長期化していることを隠ぺいしたそうです
。

さらに、
架空売上も計上
。

それだけでなく、
これらの売掛金をファクタリングで資金化して、
それを販売会社に提供して、
このスペインの子会社に入金させて、
売掛金の入金があったように偽装したそうです。
2
このスペインの子会社主導で、
ある会社を仲介して、
テレビの製造と販売をしていました。
ところが、
テレビ販売が、
価格競争の激化により、
このテレビの製造と販売を担当していた会社の資金繰りが悪化し、
その結果、
このスペインの子会社が、
テレビの製造と販売を担当していた会社を救済することになってしまったようです
。

具体的には、
テレビの製造と販売を担当していた会社に対する売掛金を隠ぺいし、
さらに、
仕入債務については、
連帯保証をしていたにもかかわらず、
その債務を計上しなかったということのようです
。

3
債権回収の長期化した売上債権をファクタリングして、
資金を調達して、
一方で、
この売掛金を受取手形で回収して、
そして、
金融機関に割引を依頼して、
換金することにより、
同一の売掛金から二重で資金調達したそうです。
これは、
すごいですね
。

こんなこと、
出来るんですね

なお、
これらの不正の背景としては、
以下だと分析しています。
(1)
高い業績目標を達成し、
この子会社の社長自身の地位を向上させるとともに、
業績に連動した自分自身の高い報酬を得る
(2)
この子会社及び子会社の社長に対する内部統制や内部監査の不備
なお、
OKIの会計監査人である新日本有限責任監査法人に対する責任追及はなく、
新日本有限責任監査法人とこの子会社の監査を担当したE&Y Spainの会計監査の適切性の評価は、
結論表明は差し控えるとなっています。
そして、
OKIでは、
調査により、
会計などへの影響が解明したとして、
14日に平成25年3月期第1四半期決算短信を公表しています。
この決算短信では、
過去の不適切な会計処理をすべて反映させた結果、
自己資本比率が、
10.8%になっています
。
また、
株式会社格付投資情報センターは、
OKI社の発行体格付けを、
11日に、
BB+からBB-に引き下げました。
ちなみに、
株式会社投資格付投資情報センターの「格付符号と定義」によると、
BBは、
「信用力は当面問題ないが、
将来環境が変化する場合、
そして、
OKIでは、
調査により、
会計などへの影響が解明したとして、
14日に平成25年3月期第1四半期決算短信を公表しています。
この決算短信では、
過去の不適切な会計処理をすべて反映させた結果、
自己資本比率が、
10.8%になっています

また、
株式会社格付投資情報センターは、
OKI社の発行体格付けを、
11日に、
BB+からBB-に引き下げました。
ちなみに、
株式会社投資格付投資情報センターの「格付符号と定義」によると、
BBは、
「信用力は当面問題ないが、
将来環境が変化する場合、
十分注意すべき要素がある。」です
。

もっとも、
本業は悪くはないようで、
平成25年3月期の業績予想では、
売上高営業利益率は、
4.1%と高くはないですが、
営業利益は、
185億円の黒字です
。
なお、
東京証券取引所において、
OKI社は、
平成24年8月8日から監理銘柄でしたが、
平成24年9月15日から監理銘柄が解除されて、
売買ができるようです。
さて、
同社の株価と業績は、
今後、
どうなるのでしょうか
。
本業は悪くはないようで、
平成25年3月期の業績予想では、
売上高営業利益率は、
4.1%と高くはないですが、
営業利益は、
185億円の黒字です

なお、
東京証券取引所において、
OKI社は、
平成24年8月8日から監理銘柄でしたが、
平成24年9月15日から監理銘柄が解除されて、
売買ができるようです。
さて、
同社の株価と業績は、
今後、
どうなるのでしょうか

