昨日、
多くのネット系ニュースサイトで、
話題になっていた当たり馬券に対する税金について、
書きます。
当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判(読売新聞)
この読売新聞の記事によると、
競馬の馬券で得た所得を申告しないで、
2007年から2009年までの3年間で、
約5億7000万円を脱税したとして、
所得税法違反に問われた会社員男性(39)が、
大阪地裁の公判で無罪を訴えているそうです。
税務署は、
この男性が、
馬券で得た収入を、
事業で得た収入ではないので、
「一時所得」としています。
そのため、
必要経費は、
当たった馬券の購入分しか認めていません。
一方、
この男性は、
この当たった馬券の購入分以外、
つまり、
外れちゃった馬券の購入分も、
経費に認めてくれと主張しているそうです。
具体的に金額にすると、
以下だそうです。
集計期間:
2007年から2009年までの3年間
当たり馬券による収入:
約30億1,000万円
当該当たり馬券の購入費用:
約1億円
外れちゃった馬券の購入費用:
約27億7,000万円
以上より、
税務署が計算した利益
=約30億1,000万円−約1億円
=約29億円
男性が主張している利益
=約30億1,000万円−(約1億円+約27億7,000万円)
=約1億4,0000万円
このように、
利益の金額は、
税務署の計算と男性の計算とでは、
大きく異なります。
さて、
私個人は、
どのように考えるかと言うと、
理論的には、
税務署の主張が正しいでしょう。
馬券で当てたら、
それは、
事業所得ではなく、
一時所得。
一時所得となれば、
費用として認められるのは、
当たり馬券の購入費用のみなので、
利益は、
約29億円です。
そうすると、
所得税と無申告加算税合計で、
約6億9,000万円が、
追加で納付するべき所得税等ということになるそうです。
ただし、
この約6億9,000万円という金額は、
この男性が、
払える金額ではありません。
そこで、
私が、
この男性の顧問税理士だったら、
どんな主張をして、
税務署の主張に対抗するかを考えてみました。
そうすると、
この男性は、
馬券購入を、
反復、
かつ、
継続して行っているので、
実質的には、
この男性にとって、
馬券の購入は、
「事業」であったと主張すると思います。
つまり、
この馬券による収入は、
「一時所得」ではなく、
「事業所得」であると裁判で主張して、
認めてもらうのです。
そうすると、
外れた馬券の購入費用も、
必要経費になるので、
男性の所得は、
約1億4,0000万円になります。
さて、
この裁判は、
どうなるのでしょうか
個人的には、
上記にも書いたように税務署の主張が正論だと思います。
また、
所得を申告をしなかったことは悪いことなので、
課税をすることは、
当然だと思います。
しかし、
明らかに払えない金額を課税をするというのも、
税務「行政」としては、
問題があると思います。
私個人としては、
2007年から2009年の3年間で稼いだ所得(約1億4,0000万円)を、
税金(所得税と住民税など)として、
全額納付させるというのが、
税務「行政」としての、
妥協点だったのではないかと思います。
今後の裁判の経過に注目です。
最後に、
税金の話ではない個人的な感想です。
この男性は、
自分でソフトを開発して、
馬券を購入していたようですが、
素晴らしいソフトです。
数字を見ると、
このソフトの素晴らしさがわかります。
当たり馬券が、
約30億1,000万円、
そして、
当たり馬券とはずれ馬券の購入費を差し引くと、
約1億4,0000万円の利益ということは、
売上高利益率は、
4.7%です。
3年間で約1億4,000万円の利益なら、
十分に生活できます。
以上より、
この会社員は、
会社を退職して、
会社を設立して、
競馬の当たり馬券を提供する事業をやっていれば、
違う人生になったかもしれません。
もっとも、
人生には、
「たら」「れば」がないのも事実。
過去は変えられないので、
将来に向けて、
今を頑張るしかありません。