2012年11月30日

当たり馬券による収入30億円に対する税金はいくらか

昨日、
多くのネット系ニュースサイトで、
話題になっていた当たり馬券に対する税金について、
書きます。

当たり馬券配当30億円、外れは経費?…裁判(読売新聞)

この読売新聞の記事によると、
競馬の馬券で得た所得を申告しないで、
2007年から2009年までの3年間で、
約5億7000万円を脱税したとして、
所得税法違反に問われた会社員男性(39)が、
大阪地裁の公判で無罪を訴えているそうです

税務署は、
この男性が、
馬券で得た収入を、
事業で得た収入ではないので、
「一時所得」としています

そのため、
必要経費は、
当たった馬券の購入分しか認めていません

一方、
この男性は、
この当たった馬券の購入分以外、
つまり、
外れちゃった馬券の購入分も、
経費に認めてくれと主張しているそうです

具体的に金額にすると、
以下だそうです

集計期間:
2007年から2009年までの3年間

当たり馬券による収入:
約30億1,000万円

当該当たり馬券の購入費用:
約1億円

外れちゃった馬券の購入費用:
約27億7,000万円

以上より、
税務署が計算した利益
=約30億1,000万円−約1億円
=約29億円

男性が主張している利益
=約30億1,000万円−(約1億円+約27億7,000万円)
=約1億4,0000万円

このように、
利益の金額は、
税務署の計算と男性の計算とでは、
大きく異なります

さて、
私個人は、
どのように考えるかと言うと、
理論的には、
税務署の主張が正しいでしょう

馬券で当てたら、
それは、
事業所得ではなく、
一時所得。

一時所得となれば、
費用として認められるのは、
当たり馬券の購入費用のみなので、
利益は、
約29億円です

そうすると、
所得税と無申告加算税合計で、
約6億9,000万円が、
追加で納付するべき所得税等ということになるそうです

ただし、
この約6億9,000万円という金額は、
この男性が、
払える金額ではありません

そこで、
私が、
この男性の顧問税理士だったら、
どんな主張をして、
税務署の主張に対抗するかを考えてみました

そうすると、
この男性は、
馬券購入を、
反復、
かつ、
継続して行っているので、
実質的には、
この男性にとって、
馬券の購入は、
「事業」であったと主張すると思います

つまり、
この馬券による収入は、
「一時所得」ではなく、
「事業所得」であると裁判で主張して、
認めてもらうのです

そうすると、
外れた馬券の購入費用も、
必要経費になるので、
男性の所得は、
約1億4,0000万円になります

さて、
この裁判は、
どうなるのでしょうか

個人的には、
上記にも書いたように税務署の主張が正論だと思います

また、
所得を申告をしなかったことは悪いことなので、
課税をすることは、
当然だと思います

しかし、
明らかに払えない金額を課税をするというのも、
税務「行政」としては、
問題があると思います

私個人としては、
2007年から2009年の3年間で稼いだ所得(約1億4,0000万円)を、
税金(所得税と住民税など)として、
全額納付させるというのが、
税務「行政」としての、
妥協点だったのではないかと思います

今後の裁判の経過に注目です

最後に、
税金の話ではない個人的な感想です。

この男性は、
自分でソフトを開発して、
馬券を購入していたようですが、
素晴らしいソフトです。

数字を見ると、
このソフトの素晴らしさがわかります。

当たり馬券が、
約30億1,000万円、
そして、
当たり馬券とはずれ馬券の購入費を差し引くと、
約1億4,0000万円の利益ということは、
売上高利益率は、
4.7%です。

3年間で約1億4,000万円の利益なら、
十分に生活できます。

以上より、
この会社員は、
会社を退職して、
会社を設立して、
競馬の当たり馬券を提供する事業をやっていれば、
違う人生になったかもしれません。

もっとも、
人生には、
「たら」「れば」がないのも事実。

過去は変えられないので、
将来に向けて、
今を頑張るしかありません



  

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2012年11月22日

ドレス販売店の脱税事例から学べる3つのこと

11月の月末で、
いろいろとやらないといけないことはあるのですが、
脱税の記事をインターネットで発見したので、
ブログを書いちゃいます

名古屋・錦三のドレス店告発 国税、1億円所得隠し容疑(朝日新聞)
この記事によると、
 「狭い売り場でも、
もうかる」と、
テレビで話題になった名古屋市中区錦3丁目のドレス販売店が、
2011年までの2年間で、
約1億1,000万円の所得を隠し、
脱税したとして、
名古屋国税局が、
女性経営者(49)を、
所得税法違反容疑で名古屋地検に告発したそうです

脱税額は、
約4,000万円だそうです

所得税の最高税率は、
40%なので(国税庁ホームページ参照)、
妥当な所得税の納税額でしょう。

別の言い方をすると、
所得税のほかに、
住民税(税率10%)や、
重加算税(増加する所得税の35%)をさらに払わないといけないので、
少なくとも、
あと3,000万円は、
支払わないといけません

さて、
脱税して、
税金として払わなかったお金は、
きちんと貯金していたのでしょうか

貯金していないと、
税金を支払えなくて、
最悪の場合、
家や株などの財産を売って、
税金を支払わないといけません

このように、
脱税は、
結局、
損なので、
ぜったいにしてはいけません

また、
今回の利益隠しの方法は、
稚拙で、
税務調査があれば、
すぐに発覚する方法です

具体的には、
2010年と2011年の申告をする際に、
多額の利益が計上されたので、
架空仕入を計上して、
利益を圧縮したとのことです

現実的に、
脱税は、
税務調査がなければ、
発覚しません

しかし、
税務調査があると、
帳簿に記録されている仕入に対応する請求書等の提示を、
税務署に要求されます。

架空仕入の場合、
その仕入に対応する請求書はないので、
速攻で、
架空仕入が、
発覚します

そして、
明らかに、
事実を仮装、隠ぺいする目的ありということで、
重加算税が課されます

さて、
今回のドレス販売店の脱税事例から、
学べることはないかということで、
以下の3点を記述しました

1・マスコミに取り上げられることの功罪
マスコミにとりあげられることによって、
知名度が上がるので、
小売店の場合には、
売上高が増加したりします

一方で、
マスコミに登場した「儲かっている会社や人」は、
税務署も、
申告内容をチェックします

きちんと税金の申告をしておかないと、
税務署のチェックが怖くて、
マスコミにとりあげてもらう絶好の機会を逃すことになります

2・利益の金額を日常的に確認しないといけない
この朝日新聞の記事だけから判断すると、
このドレス販売店の女性経営者は、
決算時に、
売上高と費用を集計し、
利益の金額を確認したら、
「えー、
こんなに利益が計上されてるんだ!
税金、
払えない!」
と、
びっくりして、
架空仕入の計上をしたように読めます。

つまり、
日常的に、
売上高と費用を集計し、
利益の金額を確認していたら、
事前に、
納税資金を用意したり、
適法な節税策を実施することができたと思います

管理的な業務が苦手だったり、
従業員や会計事務所にお金を支払うのが嫌で、
売上高と費用の集計を後回しにする人がいます。

そして、
最悪の結果が、
今回の事例だと思います

管理的業務を行う時間を確保するか、
従業員を雇う、
または、
会計事務所に委託するといった対応をする必要があります

3・ある程度の事業規模になったら個人事業から会社組織にする
この朝日新聞の記事から推察すると、
このドレス販売店は、
個人事業で、
会社組織になっていないようです。

ある程度の事業規模になったら、
個人事業ではなく、
会社組織にしたほうが、
合法的な節税策が利用でき、
お得です

「儲かっている」ことを前提とすると、
会社組織であれば、
社会保険、社宅、保険、リースなど、
合法的な節税策を行うことが可能です

ある程度の規模については、
いろいろな考え方があると思いますが、
売上高3,000万円を超えたら、
小売店や飲食店のような業態でも、
会社組織にしたほうが良いでしょう。

もちろん、
会社を設立するには、
資本金や収入印紙代など、
資金が必要です。

また、
小売店や飲食店のように、
個人をお客様としていると、
会社組織にしても、
売上高の増加には、
直結しません

そこで、
「個人事業主でいいや!」なんてことをしていると、
儲かった時に、
合法的な節税策が活用できないということになります


  
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2012年11月20日

ルノアールが上場企業であることを知り決算短信を見た

インターネットのニュースを見て、
びっくり

キーコーヒー、銀座ルノアールと資本・業務提携に向けた基本合意書を締結(日経新聞・プレスリリース)

びっくりしたのは、
キーコーヒーと銀座ルノアールが提携したことではなく、
ルノアールが、
上場企業だったことを知ったことです

ルノアール
利用したことありますか

お値段は、
少し高めの喫茶店で、
ふかふかのソファーがあります。

スターバックスとは違う雰囲気で、
スターバックスが、
居心地の良いリビングなら、
ルノアールは、
威厳のある応接室といった感じでしょうか。。。

まだ利用したことがない人は、
駅の周辺にあることが多いので、
是非、
一度利用してみてください。

さて、
さっそく決算短信を見てみましょう。

3月決算会社なので、
平成24年3月期の決算短信を見てみます

収益性ですが、
売上高営業利益率は、
3.9%、
総資産経常利益率は、
4.3%なので、
日本企業としては、
平均的で、
良くもないですが、
悪くもありません

びっくりするのは、
安全性

自己資本比率が、
83.9%です

倒産の可能性0(ゼロ)です。

さらに、
連結貸借対照表を見ると、
短期借入金が5,000万円ありますが、
現金預金が、
約10億円あるので、
実質的に無借金経営です

また、
営業活動によるキャッシュ・フローの合計額は、
2会計年度ともに、
プラスです。

結論としては、
売上高増加率が、
1.4%の増加ということなので、
成熟市場で、
成長性は低いですが、
倒産可能性は、
非常に低く、
かつ、
堅実に稼いでいて、
優良な会社だといえます

あえて、
問題点を指摘するなら、
平成25年3月期の連結業績予想を見ると、
売上高増加率は、
15.9%ですが、
営業利益増加率は、
30.7%も減少してしまうので、
売上高営業利益率も、
2.3%に低下してしまいます。

つまり、
だんだんと利益の確保が困難になることが予想されています

もっとも、
2012年11月8日に公表された平成25年3月期第2四半期決算短信では、
売上高増加率は、
13.1%ですが、
営業利益増加率は、
2.3%の減少になっているので、
売上高営業利益率は、
3.3%の減少にとどめています。

ただし、
売上高営業利益率の維持が困難なことには変わりません

今後は、
キーコーヒーとの提携により、
飲み物の品質を上げながら、
原価を低下させ、
そして、
良好な財務体質を武器に、
集客力のある良い立地に出店をすることによって、
競合他社に勝つ戦略ではないかと予想されます

それにしても、
自分の周囲に、
気が付いていない上場企業ってあるんですね。

びっくりしました


  
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2012年11月19日

当事務所でアルバイトの求人を開始しました

11月は、
公認会計士試験の合格発表、
そして、
12月は、
税理士試験の合格発表が行われるので、
監査法人や会計事務所業界は、
11月や12月は、
求人の季節です

そこで、
当事務所でも、
求人を実施しています

当事務所では、
会計士試験と税理士試験を受験している人の資格取得を応援していて、
その一環として、
アルバイトを採用しています

今回のアルバイトの募集人数は、
2-4人を想定しています。

応募資格は、
公認会計士試験を受験しているか、
税理士試験で、
法人税・所得税・相続税・消費税のうち、
1科目以上に合格している人となっています

当事務所のお勧めポイントを、
2つ提示すると、
以下となります。

1・合格実績
2011年と2012年の2年間で、
公認会計士試験論文式合格者2名
税理士試験5科目合格者2名
です

2・仕事と勉強の両立が可能な環境と条件
勤務時間は、
9時30分から17時までで、
残業はありません。

また、
赤坂見附駅、永田町駅、赤坂駅の3駅が利用可能なので、
通勤、
そして、
専門学校への通学に便利だと思います。

なお、
当事務所は、
所属しているスタッフ全員が、
非喫煙者なので、
非喫煙者の応募を歓迎しています

非喫煙者の人は、
履歴書に、
非喫煙者である旨を明記してください。

その他の詳細は、
TACキャリアナビ」で、
「仕事を探す」の「フリーワード検索」で、
「金井公認会計士事務所」と入力し、
検索して、
確認してください

多くの人からの求人があり、
ご縁があると嬉しいです

よろしくお願いします。



  
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2012年11月14日

先月受験したTOEICの点数が判明しました

2010年より、
毎年秋に、
TOEICを受験しています

今年も、
10月21日に受験し、
先日、
試験結果が発表となりました

<2012年>
Listening
310点

Reading
325点

合計
635点

ちなみに、
過去2回は、
以下でした。

<2011年>
Listening
295点

Reading
320点

合計
615点

<2010年>
Listening
345点

Reading
275点

合計
620点

昨年は、
点数が下がるというという失態を演じましたが
今年は、
点数は下がりませんでしたが、
ほぼ横ばいです

点数が伸びない原因は明確で、
勉強不足です

現在の会計事務所業務では、
英語を使用することは、
全くありません

では、
なぜ、
TOEICに取り組んでいるかという理由は、
以下です

海外旅行に行ったときに、
現地で、
もっとコミュニケーションしたい。

洋画を、
字幕なしで楽しみたい。

日本在住の外国人社長さんを対象に、
事業展開したい。

当事務所スタッフに勉強しろと言っているのに、
本人が全く勉強しないのは、
良くない。

こんな緩い理由なので、
もっと、
自分を追い詰めないと、
目標の730点に到達しないと思います

来年の秋の受験に向けて、
頑張ります
  
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2012年11月12日

公認会計士試験の合格発表があり、当事務所から2名合格

本日、
公認会計士試験の合格発表がありました

公認会計士試験の合格者、1,347人(読売新聞)

この記事のもとになっているのが、
金融庁が発表した「平成24年公認会計士試験」という資料です。

公認会計士試験に合格しても、
全員が、
監査法人に就職できないので、
公認会計士の人気は低下傾向で、
願書提出者は、
前年より5,257人(約23%)減って、
17,894人です

そして、
合格者は、
前年より約11%少ない1,347人で
合格率は、
前年よりは、
1%上昇して、
7.5%です

平成19年の試験では、
4,041人合格で、
合格率は、
19.3%でした

このころは、
内部統制の導入などで、
公認会計士が必要になるという金融庁や公認会計士業界の判断で、
合格者を増やしました

結果的には、
この判断が大間違い

監査法人の業績も下降し、
リストラ等も行われ、
現在、
監査法人は、
厳しい生存競争をしています

したがって、
今年の合格者で、
監査法人に就職できるのは、
700人ぐらいではないでしょうか

さて、
当事務所では、
今回の公認会計士試験を2名が受験し、
2名とも合格

Nさん、
O君、
おめでとう

働きながら、
勉強をして、
大変だったと思うけど、
2人とも頑張りました

ただし、
こんな時代なので、
明日からの監査法人への就職活動も、
頑張ってね

年内に、
2人の合格祝い&監査法人の内定祝いを事務所で盛大にする予定です


  
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2012年11月08日

フランスは、VAT(付加価値税)の税率を引き上げるようです

世間では、
海外の話題は、
アメリカの大統領選挙で、
オバマさんが勝利をしたことに集中していると思いますが、
私は、
世間と異なり、
ヨーロッパの話題をブログに書きます

さて、
インターネットを見ていたら、
税金に関するニュースを発見

仏は「消費税」20%に…生活必需品は引き下げ(読売新聞)

この読売新聞の記事によると、
仏政府は、
6日に、
2014年から、
付加価値税(VAT)の標準税率を、
現在の19.6%から20%に引き上げると発表したそうです

付加価値税は、
日本の消費税に相当する税金です。

20%ですか。。。
高いですね。。。

1,000円のモノを買うと、
1,200円、
10.000円のモノを買うと、
12,000円。

お買い物するときに、
考えちゃいます

それとも、
時間の経過と共に、
20%の税率に慣れちゃって、
気にしなくなるのでしょうか

なお、
この読売新聞の記事によると、
フランスは、
VATの税率が、
複数あるようです。

飲食店などで課される軽減税率は、
現在の7%から10%に上がる一方で、
食品や燃料など生活必需品の軽減税率は、
5.5%から5%に引き下げるそうです。

レストランなどの反対が相当あったかと思いますし、
この税率変更が妥当かどうかは、
いろいろな意見があるかと思います。

しかし
フランス政府の強いリーダーシップは、
評価に値すると思います

なお、
このVATの税率の引き上げは、
フランス政府の産業支援と表裏一体の政策のようです。

この記事によると、
フランス政府は、
国内産業の支援に向け、
今後3年で200億ユーロの企業向け税控除措置を実施する方針を発表したそうです

その財源が、
今後数年で実施する100億ユーロの歳出削減と、
VATなどの税率引き上げで、
100億ユーロの資金を確保するそうです

企業の税金の負担を減らして、
企業の競争力を回復させるというのは、
世界の国の競争です

企業の所得に対する実効税率はどうなっているのかについては、
平成22年11月4日の日本の税制調査会で、
提供された資料に明記されています。

この資料の右下のページ数で、
5ページに、
企業の所得に対する各国の実効税率を比較したグラフがあります。

日本とアメリカが40%ぐらい
フランスなどのヨーロッパ諸国が28-33%ぐらい
中国などのアジア諸国が17-25%ぐらいといったところです

これでは、
フランスだけでなく、
日本も勝てません

さて、
日本では、
消費税率が、
2014年の4月に8%、
2015年の10月に10%に消費税が上がることが決まっています

法人税率の引き下げや投資減税などを組み合わせなくて大丈夫なのでしょうか

それとも、
大企業はこっそり海外に行ってしまい、
その結果、
日本国内の雇用が減り、
結果的に、
日本国内は、
不況になるなんてことはないのでしょうか?

不安です。。。


  
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2012年11月06日

あなたは、「配偶者控除の廃止」に賛成?反対?

今週から、
ぐっと寒くなり、
風邪をひいてしまった人もいるようです。

みなさん、
気を付けてください

さて、
インターネットを見ていたら、
こんなニュースを発見

配偶者控除、主婦反発に配慮し廃止を見送り(読売新聞)

このニュースによると、
政府・民主党は、
配偶者控除の恩恵を受けている主婦からの反発を恐れて、
2013年度の税制改正で、
配偶者控除の廃止を見送るそうです

配偶者控除とは、
この記事にも書いてありますが、
配偶者の年間所得が38万円(給与なら年収103万円)以下であれば、
納税者の課税対象となる所得から38万円を差し引き、
所得税額を軽減できる制度です

(なお、
国税庁の「配偶者控除」の解説が読みたい人は、
ここをクリックしてください。)

この配偶者控除の制度を利用するために、
パートなどで働いている主婦の人は、
年収を103万円以下に抑えようとする人がいます

一方で、
今後の少子高齢化の日本の社会では、
このような年収を103万円以下に抑えようとする判断が、
貴重な労働力の供給の阻害要因になっていると指摘する人がいます

また、
年収を103万円以下に抑えようなんてことを考えていない既婚女性からは、
「なぜ、
一部の主婦だけに税制上の恩典があるのか」ということで、
反発もあるようです

このように、
配偶者控除の存続に、
賛成する人と反対する人がいるのですが、
民主党は、
2009年の衆院選の政権公約(マニフェスト)で、
配偶者控除の廃止を掲げました

しかし、
現在においても、
この配偶者控除の恩典を受けている主婦の反発が怖くて、
実施ができないという状況です

現在、
存在している税制上の恩典を廃止しようとすれば、
当然に、
反発はあります

しかし、
その恩典を廃止することが、
国の将来を考えたときに、
本当に必要ならば、
反発を受けても実行するべきです

今回の民主党の見送りの判断は、
国の将来を考えたというより、
目の前の選挙対策しか考えていないことは明白です

さて、
みなさんは、
配偶者控除の廃止に、
賛成ですか?
それとも、
反対ですか?

私は、
これからの少子高齢化社会において、
貴重な労働力を確保するという観点からは、
配偶者控除を廃止するべきだと思います

しかし、
このブログを書きながら、
「増税になる人がたくさんいるから、
実現は難しいだろうな」とも、
思います

それだけに、
日本の将来を真剣に考え、
リーダーシップを持った政治家の出現が待たれます


  
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2012年11月02日

今日は、シャープの決算短信を見てみました

昨日は、
パナソニックの決算短信を見て、
ブログを書いたので、
今日は同じく電機業界のシャープを見てみました。

昨日、
シャープ株式会社の平成25年3月期第2四半期の決算短信が発表になりました。

初めに結論を書くと、
シャープは、
パナソニックより重症です

売上高は、
約1兆1,1041億円で、
対前年同期比で、
16.0%減少していて、
かつ、
本業のもうけを示す営業利益は、
1,688億円の赤字です

パナソニックは、
営業利益は黒字だったのですが、
シャープは、
営業利益が赤字なので、
シャープは、
パナソニックより重症ということになります

ちなみに、
シャープの昨年の平成24年3月期第2四半期は、
335億円の黒字だったので、
損益状況は、
どんどん悪化しています

また、
安全性を示す自己資本比率は、
9.9%まで低下してしまい、
倒産のリスクがないとはいえない危険な状態に突入です

さらに、
キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローは、
赤字です

また、
キャッシュ・フロー計算書の財務活動によるキャッシュ・フローを見ると、
銀行からの借入金は、
長期借入金は減少、
短期借入金は増加です。

運転資金が厳しいことを如実に物語っているとともに、
銀行も、
将来の業績が不透明なので、
長期では貸せないことを示しています

もっとも、
銀行が逃げ出していないだけ、
まだ良いのかもしれません

さて、
本業のもうけを示す営業利益が、
赤字なので、
今度は、
部門別に見てみましょう。

シャープは、
エレクトロニクスと、
電子部品の2つの部門に分けています。

そして、
エレクトロニクス部門が、
売上高約6,328億円で、
営業利益が31億円の黒字ですが、
電子部品部門が、
売上高約5,870億円で、
営業利益が1,516億円の赤字となっています。

そうすると、
エレクトロニクス部門は、
黒字なので問題ないのかというと、
そういう話ではありません

エレクトロニクス部門は、
売上が最も大きいAV・通信機器が、
2,118億円の赤字で、
それ以外の、
健康・環境機器と情報機器が黒字なので、
エレクトロニクス部門全体では、
黒字という構造です。

AV・通信機器とは、
液晶テレビ、
健康・環境機器とは、
洗濯機や空気洗浄機ということです。

つまり、
損益だけ見ると、
液晶テレビなんかやめて、
白物家電を強化しなさいということになります

悲惨なのは、
電子部品部門

電子部門は、
さらに、
液晶、
太陽電池、
その他の電子デバイスの3つに分かれていますが、
それぞれの営業利益は、
液晶が1.155億円の赤字、
太陽電池が123億円の赤字、
その他の電子デバイスが237億円の赤字となっています

つまり、
損益だけ見ると、
液晶とか、
太陽電池は、
やめるか、
売却しちゃえということになります

事業の柱である液晶と、
将来、
事業の柱になるかもしれない太陽電池が、
ともに赤字なので、
現状も、
将来も、
光が見えないという状態です

さて、
シャープ、
どうなっちゃうんでしょうか?

銀行が資金の支援をしている間に、
液晶の赤字を大幅に減らし、
さらに、
黒字を計上している洗濯機や空気洗浄機などの、
健康・環境機器を強化するということになるんでしょう

太陽電池は、
ほかの企業に売却か、
合弁会社を作るのでしょうか?

しかし、
パナソニック社も、
ソーラーで、
のれんや無形固定資産の減損損失を計上しているので、
自然環境を利用したエネルギー分野での機器で、
利益を計上するのは難しいのかもしれません

さて、
繰り返しになりますが、
シャープ社は、
パナソニック社より、
重症です。

銀行の支援が得られている間に、
現在と将来の収益の柱を作れるのかが、
ポイントだと思います。

シャープ社も、
パナソニック社と同様に、
日本を代表する企業なので、
ぜひ、
頑張って、
復活してほしいです。

  
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2012年11月01日

「普通の会社ではない」パナソニック社の決算短信を見てみる

11月となり、
2012年もあと2か月

2か月でできることや、
まだ、
実行していないことは、
しっかりやりたいと思います

そこで、
最近、
更新していないブログを書きました。。。

昨日、
パナソニック株式会社の平成25年3月期第2四半期の決算が発表になりました。

インターネットの報道を見ると、
パナソニック社の社長さんが、
「普通の会社ではない」と発言されたそうです。

「普通の会社ではない」パナソニック社長、巨額赤字に厳しい表情(産経新聞)

事実はどうなのかを確認するために、
パナソニック株式会社の平成25年3月期第2四半期の決算短信を見てみましょう。

売上高は、
約3兆6,138億円で、
対前年同期比で、
9.2%減少していますが、
営業利益は、
873億円の黒字で、
かつ、
対前年同期比で、
83.5%の増加です

したがって、
売上高営業利益率も、
1.2%から2.4%に改善されています

つまり、
日本の上場企業の売上高営業利益率の平均が4%ぐらいということから考えると、
売上高営業利益率は、
高いとは言えないですが、
本業でのもうけは、
なんとか確保していることになります。

なお、
パナソニック社は、
8つの事業区分に分けていますが、
前期では、
営業利益が赤字の事業が、
4事業ありましたが、
今期は、
1事業に減少しています

ただし、
各事業別の売上高営業利益率をみると、
1事業だけ6%台で、
2%台が4事業ということなので、
高収益の事業は全くありません

ここまでの考察では、
パナソニック社は、
「普通の会社」です

では、
「普通の会社」ではない理由は、
税金を引いた後の当期純利益が赤字で、
かつ、
巨額だという点です

赤字の金額は、
6,851億円です

売上高が、
約3兆6,138億円の会社ですから、
当期純利益の赤字の金額6,851億円の巨額さが、
よくわかります。

この赤字の巨額さ、
そして、
これだけの巨額の赤字を計上しても、
倒産しないのですから、
たしかに、
パナソニック社は、
「普通の会社」ではありません

赤字の原因は、
事業構造改革費用3,555億円と、
法人税等4,125億円だそうです。

事業構造改革費用は、
ソーラー、
民生用リチウムイオン電池および携帯電話事業に関するのれんや無形固定資産の、
減損損失が主だそうです。

つまり、
ソーラー、
民生用リチウムイオン電池および携帯電話事業において、
過去に実施した投資が、
明らかに、
回収できないと判断されたということになります

また、
法人税等は、
過去に計上した繰延税金資産の取崩しです。

つまり、
将来の利益計画の達成が困難になったということです

以上より、
パナソニック社の現状を判断すると、
すぐに倒産してしまうということはないですが、
現在、
高収益な事業はないし、
今後2-3年において、
成長していく事業もないということになります

逆に言えば、
今後2-3年間で、
高収益か、
成長が期待される新商品や新サービスがないと、
将来の営業利益の確保という点でも、
厳しいことが予想されます

パナソニックといえば、
日本を代表する企業なので、
ぜひ、
頑張って、
復活してほしいです
 


  
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