題名:乳と卵(ちちとらん)
著者:川上未映子
出版社:文藝春秋
価格:1143円(税別)
2008年芥川賞受賞作品。
受賞してすぐに購入したが、数か月「つん読」状態。
数ページ読むだけで、授賞理由がわかります。
日本語の可能性を提示した作品です。
文章は、
学校では、教えない日本語を使用しています。
具体的には、
漢字があるのに、ひらがなで書いたり、
「、」と付ける場所に、「、」を付けなかったり、
「」をつけるべき会話部分に、「」なしで書いたりしています。
そのことにより、
文章に、スピード感が出たり、
状況が、映画を見ているように頭の中に流れたり、
登場人物の心の中が、より良く描写されていると思います。
「日本語って、奥深いんだなぁ」と、びっくりしました。
この文体は、
作者の才能によって生み出されたのか、
試行錯誤によって生み出されたのか、
とても興味があります。
なお、この作品の衝撃度が非常に大きいので、
この本に一緒に収録されている「あなたたちの恋愛は瀕死」という作品は、
普通の文体に近い作品なので、
描写は丁寧で、
悪くはないと思いますが、
衝撃度は、やや薄い。
衝撃的な作品を発表すると、
次の作品が、非常に難しいですね。
日本語ってすごいなと素直に思えるので、
ぜひ、一読してみてください。