本日の夜は、
この夏と秋のセミナーで使用するテキストの作成の仕事。
セミナーでは、
受講生に実際の決算書を見てもらっている。
これまでは、キリンビールの決算書を多用していた。
理由は、
みんなが知っている会社だし、
セミナーで説明したいことが全部含まれているからだ。
ところが、キリンビールの親会社が持ち株会社に移行してしまい、
セミナーで説明したいことが説明できなくなってしまい、
新しく適切な会社の決算書を探す必要が生じた。
いろいろな会社の決算書を見たが、
なかなかキリンビールの代わりとなってくれる決算書は見つからない。
そこで、休憩を兼ねて、
「オリエンタルランド」の平成20年3月期の決算短信を見てみる。
ちなみに、
オリエンタルランドは、
あの「夢と光の国東京ディズニーランド」の運営会社である。
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注:
ここから先は、
「夢と光の国」がブチ壊れる話なので、
健全な男子・女子・子供は、読んではいけません。
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決算短信では、
ミッキーも、ミニ―も、ドナルドも、
全部、無機質な数字で表現される。
収益性は、
売上高営業利益率9.1%
と悪くないが、
自己資本当期純利益率(ROE)は3.8%。
これでは株主が怒りそうだが、
配当性向は38.7%
なので、悪くはない。
他にもいくつか気になるところがあるが、
最も気になるのは、
平成19年3月期=>平成20年3月期=>平成21年3月期(予想)
と、利益が減少傾向な点だ。
いくつか理由があるのだが、
「へぇー」と思ったのが、減価償却費。
この平成20年3月期から、
法人税法の減価償却計算が変更になったことにより、
減価償却費が従来より多額に計上されることになった。
概略は、
1・平成20年4月1日以降に取得した資産は、従来よりも多額の減価償却費が計上できる
2・すでに減価償却計算が完了している資産は、さらに減価償却費の計上が可能となった
具体的には、
1の影響で、営業利益と経常利益は、527百万円減少、
2の影響で、営業利益と経常利益は、1,291百万円減少
(平成20年3月期の決算短信23ページ)
今回の減価償却計算の変更が、
オリエンタルランドの決算を直撃し、
利益が減少している大きな原因であることがわかる。
実は、
「夢と光の国」は、固定資産がないと商売ができない会社だ。
具体的には、
テーマパークのアトラクション、ホテル、モノレールの線路や駅や列車、店舗。
決算書的には、全部、固定資産。
したがって、
総資産回転率(売上/2期分の総資産の平均値)も、
0.47回と、電力会社並の悪さである。
このように、
固定資産がないと商売ができない会社にとっては、
今回の減価償却計算の変更は、
利益に与える影響が大きかったことになる。
さて、みなさん、
こんな色気のない話は忘れて、
お休みの日には、
東京ディズニーランドに行って、
夢と光の国の「マジック」を楽しんでください。
決して、
売上高営業利益率が9.1%
だとか、
減価償却費が原因で、利益が圧迫されている
なんて思い出してはいけません。
そんなことを思い出すと、
「ミッキーやミニーも、がんばっているんだなぁ」なんて気持ちになり、
純粋に楽しめなくなります。