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さて、
本日のニュースで注目したのは、
英高級陶磁器、「ウェッジウッド」経営破たん(日本経済新聞)。
記事によると、
「ウェッジウッド」はブランド名で、
会社名は、ウォーターフォード・ウェッジウッド。
同社は会計事務所のデロイトを管財人に選び、
支援企業などを募る見通しだそうだ。
なお、
倒産理由は、
中国製などの安価な陶器の普及に加え、
金融危機を契機とする世界的な景気後退の影響で、
売上が低迷していたそうだ。
では、
事実を確かめてみようということで、
ウォーターフォード・ウェッジウッド社の決算書を見つけました。
まず、
ウォーターフォード・ウェッジウッド社のホームページは、
ここ。
決算書(Annual report)は、
これです。
カラーページがたくさんあり、
きれいなAnnual reportですというか、
Annual reportにお金をかけるような会社だから、
経営破たんしたともいえます。
ちなみに、
このAnnual reportの決算期は、2008年4月5日
。
海外の決算期って、
個性的です。
それから、
数字の通貨の表示は、ユーロ。
(本日は、1ユーロ=125円ぐらい。)
ユーロの略記号は、
「€」です
。
なんだか、
ユーモラスな略記号ですね。
また、
会計基準は、
いま日本で話題になっているIFRS。
いわゆる、
国際会計基準です
。
まず、
52ページの損益計算書(連結)を見てみましょう。
ひどいですね
。
2008年4月期の売上が約671百万ユーロ。
日本円に換算すると、
約838億7500万円です。
ちなみに、
2007年4月期の売上高は約741百万ユーロなので、
約9%のダウンです
。
さらに、
営業利益は、
約180百万ユーロの赤字
。
つまり、
本業で全然儲かっていないということです。
ちなみに、
2007年4月期の営業利益は約17百万ユーロの赤字なので、
本業の赤字が拡大したことになります。
最終的に、
2008年4月期の当期純利益は、
約232百万ユーロの赤字。
日本円に換算すると、
約290億円なので、
大赤字です
。
ちなみに、
2007年4月期の当期純利益は、
約71百万ユーロの赤字なので、
当期純利益の赤字も拡大したことになります。
次に、
53ページと54ページの貸借対照表(連結)を見てみましょう。
これも、ひどいです
。
まず、
資産の部。
2008年4月期の総資産が、
519百万ユーロ。
日本円に換算すると、
約648億7500万円。
びっくりするのは、
在庫(棚卸資産)の金額の大きさ。
2008年4月期の在庫(棚卸資産)が、
約252百万ユーロ。
資産の約半分が、
在庫(棚卸資産)です。
2008年4月期の売上高が、
約671百万ユーロですから、
その在庫金額の多さがわかると思います。
さらに、
負債の部を見てみましょう。
銀行からの借入金が、
約480百万ユーロ。
これも、
資産規模や売上高を考慮すると、
明らかに過大借入となっています。
そして、
純資産の部を見てびっくり
。
純資産の部は、
約319百万ユーロの赤字です
。
つまり、債務超過
。
ちなみに、
2007年4月期も約108百万ユーロの赤字なので、
債務超過の状態が悪化したことになります。
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以下は、
ちょっと専門的な話。
資産の部は、
固定資産から表示されているということは、
日本と異なり、
流動性配列法ではありません。
しかし、
負債の部は、
流動負債から表示されていて、
流動性配列法。
なんでなんでしょう?
ご存知の方は、
ご教授をお願いします。
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最後に、
56ページのキャッシュ・フロー計算書(連結)を見てみましょう。
これも、予想通りのひどさです
。
まず、
営業活動によるキャッシュ・フローの部。
(国際会計基準なので、
日本と異なり、
間接法ではなく、
直接法で作成されています。)
予想通りの約121百万ユーロの赤字。
つまり、
本業のカップとかを作って売ると、
約151億円ぐらいキャッシュが社外流出するという恐ろしい経営状態です
。
ちなみに、
2007年4月期も約49百万ユーロの赤字なので、
営業活動によるキャッシュ・フローの状態は悪化したことになります。
最後にびっくりしたのは、
キャッシュの残高。
約15百万ユーロ、
つまり、
約18億円しかありません。
感覚的な感想ですが、
年間売上が800億円を超える会社のキャッシュ残高が、
約18億円というのは、
少なすぎです。
さて、
最後に、私の結論です。
日本では、
高級食器としてブランド力のある会社ですが、
決算書の数字は、
ボロボロです。
スポンサーは、
個人的には、
LVMHグループ(いわゆる、ルイ・ビィトングループ)かなと予想しています。
しかし、
この在庫(棚卸資産)の多さ、
キャッシュの少なさ、
そして、
本業で儲かっていないという現実を考えると、
再建は難しいでしょう
。
ポイントは、
管理会計的には、
在庫管理と、
製品別損益管理。
ただし、
もっと重要なのは、
社内風土の変革でしょう
。
想像ですが、
社内は、
芸術性や完成度、歴史的意義を重視して、
製品づくりをしていると予想できます。
しかし、
社内風土を改革して、
「儲からない製品は作ってはいけない
」ということを徹底できるかどうかが、
この会社が生き残れるかどうかの、
ポイントだと思います。
そのためには、
強力なリーダーシップを持った経営者が必要です
。
ブランド力のある会社ですが、
今後に注目です。