税務調査関係の記事を2件発見。
まず、
1件目。
JFE商事が、所得隠し リベートなど1億9000万円(日本経済新聞)。
この報道によると、
大手鉄鋼商社「JFE商事」(大阪市)が大阪国税局の税務調査を受け、
2007年3月期までの5年間で、
約4億9000万円の申告漏れを指摘されていたそうだ。
そのうち、
約1億9000万円が不正な所得隠しと認定されたそうだ。
この不正な所得隠しの内容は、
輸出取引の際、
顧客から払い込んでもらった代金の一部を、
返金していて、
この返金金額が約1億9000万円だそうだ。
この支払根拠が不明確で、
かつ、
返金先が顧客の企業の担当者の個人口座に支払っていたという。
これは、
明らかに、
取引先企業の担当者に対する「賄賂」でしょう。
経費として、
損金算入はできません。
こんな取引が、
国税局にばれてしまったら、
重加算税が課されて当然です。
しかし、
なんで、
こんなに大きな会社が、
簡単にばれてしまうような取引をしたのでしょうか。
税務調査において、
振込先の銀行口座名が、
請求書の発行先と一致しているかを調べるのは、
どこの会社の調査でも行われる基本的な手法です。
JFE商事は、
国税局を馬鹿にしていて、
「ばれないから、やっちゃえ!」と思ったのでしょうか。
この日本経済新聞の報道によると、
同社広報室は、
「書類の不備などのミスであり、
意図的ではない。
一部当局との見解の相違があったが、
指摘に従った」というお決まりのコメントを発表しているが、
書類の不備などなく、
当局の言う通りだと思う。
国税局を馬鹿にしてはいけません。
さて、
もう1件、税務調査ネタです。
こちらも、
大阪国税局です。
京都の風俗業者、派遣と偽り消費税逃れ 派遣を悪用(日本経済新聞)
以下は、
記事からの推察。
京都、神戸、横浜などで風俗店「ホットポイント」を展開する「スマイル」(京都市)とグループ各社は、
お店で働く女性を派遣する会社を設立。
なお、
この会社の資本金は、
1000万円未満。
ここから、
女性を派遣。
派遣を受けた各社は、
外注費として消費税を上乗せして、
派遣元の会社に支払いをしていた。
ところが、
資本金が1000万円未満だと、
設立してから、
2会計期間は、
消費税の納税義務はない。
そこで、
設立から2年経過する前に、
この女性を派遣する会社を解散決議。
そうすると、
消費税を支払わなくても良いし、
期間利益や残余財産もないということで申告すれば、
法人税等も支払わないくてよいというわけです。
ただし、
女性をお店に派遣しないといけないので、
新規に、
資本金1000万円未満で、
女性を派遣する会社を設立するというわけです。
この設立=>解散=>設立のサイクルを、
繰り返したのでしょう。
当然に、
国税局としては許してはおけません。
ここからは、
想像ですが、
税務調査の結果、
外注費を否認し、
女性に対する支払は、
給料にしたのでしょう。
その結果、
1・消費税の支払
2・源泉所得税の納付、
ただし、
3・法人税等が一部還付されたのではと、
推測されます。
しかし、
資本金1000万円未満の会社を設立して、
2年内に解散決議をしてしまい、
消費税の支払いを逃れるというのは、
消費税逃れとしては、
古典的手口かつ、
簡単にばれる手法。
なんで、
こんな事をしたのでしょうか?
やはり、
国税局を馬鹿にしていたのでしょうか?
報道によると、
2006年ごろまでの約3年間で約11億円の所得隠しも指摘され、
重加算税約1億2000万円を含め計約5億1000万円を追徴課税されたそうだ。
高い授業料となりました。
なお、
本日は、
珍しく国税局サイドに味方して書きましたが、
最後に一言。
なんで、
税務調査の内容がマスコミに流出するのでしょうか。
国税局の人間が、
国家公務員としての守秘義務に違反して、
記者クラブの人間に情報を漏らしているとしか、
考えられません。
この点は、
国税局も、
そして、
守秘義務違反を利用しているマスコミも改めるべき点だと思います。