2009年02月05日

今年も倒産が続発しそうです

本日は、
相模鉄道グループの社員の皆さんを対象としたセミナー講師の仕事。

研修内容は、
定番の内容で、
1日で決算書と経営分析をマスターします。

しかし、
本日の受講生は、
ある程度決算書を見たことがある人たちなので、
内容はいつもより多少高度

皆さん、熱心に1日聞いてくださり、
18時前に無事終了となりました。

ありがとうございました

最近のセミナーでは、
この時代を反映して、
倒産ネタは欠かすことはできません。

具体的には、
倒産しちゃった会社の決算書を材料として、
「危ない会社の見分け方」を話したりしています。

本日も、
20時前に事務所に戻ると倒産ネタを発見。

日本総合地所、更生手続 負債総額2142億円(日本経済新聞)

報道によると、
マンション分譲大手で、
東証1部上場の日本綜合地所が、
東京地裁に会社更生手続き開始を申し立て、
受理されたそうだ。

子会社2社を含めた負債総額は約2142億円で、
今年になって最大の倒産だそうです

2008年度(つまり、2008年4月から2009年3月)では、
不動産業では昨年8月に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイション(負債総額2558億円)に次ぐ大型倒産だそうです。

では、
さっそく決算短信を見てみましょう。

まずは、
平成20年3月期

最近の定番の倒産パターンです

売上高営業利益率は、11.6%で、
日本企業平均6%を上回っていて、
問題ありません。

自己資本比率は、
16.4%で、
危険水準の10%よりは大きいですが、
日本企業平均の30%よりは下わまっています。

さらに、
平成19年3月期が、
22.3%なので、
自己資本比率が低下傾向なのが、
気になります

もっとも、
そんな懸念を吹き飛ばしてくれるのが、
売上高増加率と営業利益増加率

売上高増加率が、42.1%、
営業利益増加率が、57.7%と元気いっぱいです。

一瞬、
元気になった気持も、
キャッシュ・フロー計算書の営業活動のキャッシュ・フローが、
2期連続で赤字になっていることを確認すると、
すぐに萎えます

そして、
平成21年3月期の業績予想を見てみると、
増収減益になっていて、
今後1年間の道のりが、
決して平たんではないことが、
明確に示されています

さらに、
連結貸借対照表を見て、
びっくり。

この会社の売上高は、
約1189億円。

棚卸資産は、
この年間の売上を上回る約1465億円。

いくらマンション販売業者だからといって、
在庫、持ちすぎでしょう

さらに、
目を疑うのが、
借入金の残高

借入金は、
短期借入金と長期借入金を合わせて、
約1571億円あります。

そのほかに、
社債が、
約233億円あります。

明らかに、
借り過ぎです。

というか、
銀行が貸し過ぎ

イケイケになっている会社の勢いに負けて、
銀行は貸したのでしょう。

しかし、
「いやいや、待て待て。
時には攻めだけではだめで、
守りも考えましょう」と、
経営者を諭してあげるのも、
銀行の役目ではないでしょうか?

もっとも、
イケイケでノリノリになっている状態の経営者は、
ブレーキをかける意見には、
耳を傾けないのも事実です

こうやって見てみると、
2月まで倒産しないで頑張ったともいえます。

会社の沿革を見てみると、
会社設立は、1993年の2月。

約16年という短い期間で、
せっかく東証1部上場企業になったのに、
あっというまに一生を終えたことになります。

合掌



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