本日は、
相模鉄道グループの社員の皆さんを対象としたセミナー講師の仕事。
研修内容は、
定番の内容で、
1日で決算書と経営分析をマスターします。
しかし、
本日の受講生は、
ある程度決算書を見たことがある人たちなので、
内容はいつもより多少高度。
皆さん、熱心に1日聞いてくださり、
18時前に無事終了となりました。
ありがとうございました。
最近のセミナーでは、
この時代を反映して、
倒産ネタは欠かすことはできません。
具体的には、
倒産しちゃった会社の決算書を材料として、
「危ない会社の見分け方」を話したりしています。
本日も、
20時前に事務所に戻ると倒産ネタを発見。
日本総合地所、更生手続 負債総額2142億円(日本経済新聞)
報道によると、
マンション分譲大手で、
東証1部上場の日本綜合地所が、
東京地裁に会社更生手続き開始を申し立て、
受理されたそうだ。
子会社2社を含めた負債総額は約2142億円で、
今年になって最大の倒産だそうです。
2008年度(つまり、2008年4月から2009年3月)では、
不動産業では昨年8月に民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレイション(負債総額2558億円)に次ぐ大型倒産だそうです。
では、
さっそく決算短信を見てみましょう。
まずは、
平成20年3月期。
最近の定番の倒産パターンです。
売上高営業利益率は、11.6%で、
日本企業平均6%を上回っていて、
問題ありません。
自己資本比率は、
16.4%で、
危険水準の10%よりは大きいですが、
日本企業平均の30%よりは下わまっています。
さらに、
平成19年3月期が、
22.3%なので、
自己資本比率が低下傾向なのが、
気になります。
もっとも、
そんな懸念を吹き飛ばしてくれるのが、
売上高増加率と営業利益増加率。
売上高増加率が、42.1%、
営業利益増加率が、57.7%と元気いっぱいです。
一瞬、
元気になった気持も、
キャッシュ・フロー計算書の営業活動のキャッシュ・フローが、
2期連続で赤字になっていることを確認すると、
すぐに萎えます。
そして、
平成21年3月期の業績予想を見てみると、
増収減益になっていて、
今後1年間の道のりが、
決して平たんではないことが、
明確に示されています。
さらに、
連結貸借対照表を見て、
びっくり。
この会社の売上高は、
約1189億円。
棚卸資産は、
この年間の売上を上回る約1465億円。
いくらマンション販売業者だからといって、
在庫、持ちすぎでしょう。
さらに、
目を疑うのが、
借入金の残高。
借入金は、
短期借入金と長期借入金を合わせて、
約1571億円あります。
そのほかに、
社債が、
約233億円あります。
明らかに、
借り過ぎです。
というか、
銀行が貸し過ぎ。
イケイケになっている会社の勢いに負けて、
銀行は貸したのでしょう。
しかし、
「いやいや、待て待て。
時には攻めだけではだめで、
守りも考えましょう」と、
経営者を諭してあげるのも、
銀行の役目ではないでしょうか?
もっとも、
イケイケでノリノリになっている状態の経営者は、
ブレーキをかける意見には、
耳を傾けないのも事実です。
こうやって見てみると、
2月まで倒産しないで頑張ったともいえます。
会社の沿革を見てみると、
会社設立は、1993年の2月。
約16年という短い期間で、
せっかく東証1部上場企業になったのに、
あっというまに一生を終えたことになります。
合掌。