みなさん、
ゴールデンウィークを楽しんでいるでしょうか。
私も、
「本日」は、
お休みをさせていただいています。
さて、
以下は、
この1カ月以内に聞いた実話です。
かなり衝撃度の高い話です。
ゴールデンウィークは長いので、
頭のボケ防止ということで、
読んでください。
ある会社が、
休眠会社を買収した。
理由は、
会社を設立するより、
安くて、
早いという理由だ。
そして、
さっそくこの休眠会社を活用して、
事業を始めた。
この会社は、
いきなりガンガンもうかる事業ではなく、
今期は、
初期投資をして、
赤字で、
次期以降に儲ける事業計画だった。
そこで、
今期は赤字で、
消費税は、
還付してもらう予定だった。
消費税を還付してもらうためには、
消費税の「課税事業者」でないといけない。
消費税の「課税事業者」の条件は、
原則として、
2期前の売上が1000万円を超えていると、
今期は、
「課税事業者」となる。
ふつーに商売をしていれば、
売上は、
1000万円を越えるので、
通常は、
課税事業者となる。
ところが、
今回のように休眠会社だと、
ふつーは、
2期前の売上が0円なので、
今期は、
「免税事業者」になる。
「免税事業者」では、
消費税は還付されない。
では、
なぜ、
この休眠会社を買収したのか?
この休眠会社は、
10年以上も前に、
売上高に関係なく、
常に「課税事業者」となる「課税事業者選択届」を税務署に提出していた。
つまり、
買収時に、
この「課税事業者選択届」が提出されていることを確認していたので、
この会社は、
休眠会社を買収したというわけです。
したがって、
今期は、
事業計画どおりに設備投資をして、
でも、
売上は、
ほぼ0円なので、
消費税が還付される予定だった。
ところが、
決算日が過ぎて、
税務署から申告書の用紙が送付されたときに、
非常事態が勃発した。
なんと、
消費税の申告書用紙が同封されていなかった。
つまり、
税務署は、
「この会社は、
消費税を申告(還付)しなくて良い」会社という管理をしているので、
消費税の申告書用紙を送付しなかったのだ。
(ちなみに、
税務署が消費税の申告(還付)をするべきだという管理をしている会社には、
消費税の申告書用紙が送付されます。)
会社の担当者が、
税務署に、
「なぜ、
消費税の申告書が同封されていないか」と質問すると、
驚くべき事実が判明した。
上記に書いたように、
10年以上も前に、
消費税の「課税事業者選択届出書」が提出されていたのだが、
数年前に、
休眠会社になった際に、
消費税を支払わないということで、
「消費税の課税事業者選択不適用届」が提出されていたのだ。
つまり、
この届け出が提出されると、
売上高に関係なく、
常に「課税事業者」になるという話が原則通りとなって、
2期前の売上高が1000万円以下なら、
今期は、
消費税の納付(還付)はしなくて良いということになる。
つまり、
消費税の還付を受けられると考えていた会社にとって、
資金計画の上で、
大問題ということになる。
では、
なぜこんなことになったのか?
買収時に、
「課税事業者選択届出書」を提出した控えは、
この休眠会社の株主から提出されていたが、
「消費税の課税事業者選択不適用届」の提出した控えは、
提出されなかった。
なお、
「消費税の課税事業者選択不適用届」の控えが提出されなかったのは、
悪意があってのことなのかどうかは、
不明。
したがって、
会社は、
この休眠会社は、
「消費税課税事業者」だと判断して買収したのである。
では、
休眠会社の株主から提出された書類に不備があり、
結果的に会社は、
消費税の還付を受けられないという金銭的損害が発生したので、
この休眠会社の株主に損賠賠償請求ができるのか?
回答は、
損害賠償請求は、
難しいということになる。
企業買収においては、
通常、
買い手側は、
買収しようとする会社の実態を把握する「デューデリジェンス」を実施する。
今回の件で言えば、
このデューデリジェンスが、
不十分だったので、
企業を買収した会社が悪いということになり、
休眠会社の株主を訴えるということは、
実際には、
難しいという結論になる。
結果的には、
会社としては、
会社の設立費用を安くしようとして、
企業買収をしたことにより、
消費税の還付を受けられないという、
高い勉強代を支払うことになったというわけです。
企業買収と消費税に関して、
自分がやっちゃったら、
信用面でも、
お金の面でも大問題になるなという点で、
背筋が寒くなる話でした。