2009年05月02日

企業買収に関連して発生した消費税の怖い話

みなさん、
ゴールデンウィークを楽しんでいるでしょうか

私も、
「本日」は、
お休みをさせていただいています

さて、
以下は、
この1カ月以内に聞いた実話です。

かなり衝撃度の高い話です

ゴールデンウィークは長いので、
頭のボケ防止ということで、
読んでください

ある会社が、
休眠会社を買収した。

理由は、
会社を設立するより、
安くて、
早いという理由だ。

そして、
さっそくこの休眠会社を活用して、
事業を始めた。

この会社は、
いきなりガンガンもうかる事業ではなく、
今期は、
初期投資をして、
赤字で、
次期以降に儲ける事業計画だった

そこで、
今期は赤字で、
消費税は、
還付してもらう予定だった。

消費税を還付してもらうためには、
消費税の「課税事業者」でないといけない。

消費税の「課税事業者」の条件は、
原則として、
2期前の売上が1000万円を超えていると、
今期は、
「課税事業者」となる。

ふつーに商売をしていれば、
売上は、
1000万円を越えるので、
通常は、
課税事業者となる。

ところが、
今回のように休眠会社だと、
ふつーは、
2期前の売上が0円なので、
今期は、
「免税事業者」になる。

「免税事業者」では、
消費税は還付されない

では、
なぜ、
この休眠会社を買収したのか?

この休眠会社は、
10年以上も前に、
売上高に関係なく、
常に「課税事業者」となる「課税事業者選択届」を税務署に提出していた。

つまり、
買収時に、
この「課税事業者選択届」が提出されていることを確認していたので、
この会社は、
休眠会社を買収したというわけです。

したがって、
今期は、
事業計画どおりに設備投資をして、
でも、
売上は、
ほぼ0円なので、
消費税が還付される予定だった。

ところが、
決算日が過ぎて、
税務署から申告書の用紙が送付されたときに、
非常事態が勃発した。

なんと、
消費税の申告書用紙が同封されていなかった

つまり、
税務署は、
「この会社は、
消費税を申告(還付)しなくて良い」会社という管理をしているので、
消費税の申告書用紙を送付しなかったのだ。
(ちなみに、
税務署が消費税の申告(還付)をするべきだという管理をしている会社には、
消費税の申告書用紙が送付されます。)

会社の担当者が、
税務署に、
「なぜ、
消費税の申告書が同封されていないか」と質問すると、
驚くべき事実が判明した

上記に書いたように、
10年以上も前に、
消費税の「課税事業者選択届出書」が提出されていたのだが、
数年前に、
休眠会社になった際に、
消費税を支払わないということで、
「消費税の課税事業者選択不適用届」が提出されていたのだ。

つまり、
この届け出が提出されると、
売上高に関係なく、
常に「課税事業者」になるという話が原則通りとなって、
2期前の売上高が1000万円以下なら、
今期は、
消費税の納付(還付)はしなくて良いということになる。

つまり、
消費税の還付を受けられると考えていた会社にとって、
資金計画の上で、
大問題ということになる

では、
なぜこんなことになったのか?

買収時に、
「課税事業者選択届出書」を提出した控えは、
この休眠会社の株主から提出されていたが、
「消費税の課税事業者選択不適用届」の提出した控えは、
提出されなかった。

なお、
「消費税の課税事業者選択不適用届」の控えが提出されなかったのは、
悪意があってのことなのかどうかは、
不明。

したがって、
会社は、
この休眠会社は、
「消費税課税事業者」だと判断して買収したのである

では、
休眠会社の株主から提出された書類に不備があり、
結果的に会社は、
消費税の還付を受けられないという金銭的損害が発生したので、
この休眠会社の株主に損賠賠償請求ができるのか?

回答は、
損害賠償請求は、
難しいということになる

企業買収においては、
通常、
買い手側は、
買収しようとする会社の実態を把握する「デューデリジェンス」を実施する。

今回の件で言えば、
このデューデリジェンスが、
不十分だったので、
企業を買収した会社が悪いということになり、
休眠会社の株主を訴えるということは、
実際には、
難しいという結論になる

結果的には、
会社としては、
会社の設立費用を安くしようとして、
企業買収をしたことにより、
消費税の還付を受けられないという、
高い勉強代を支払うことになったというわけです

企業買収と消費税に関して、
自分がやっちゃったら、
信用面でも、
お金の面でも大問題になるなという点で、
背筋が寒くなる話でした



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