2010年03月18日

当事務所のお客様の税務調査とIBMの税務調査

個人の確定申告が終了したので、
これから5月上旬までは、
税務署による企業の税務調査が本格化します

さて、
当事務所のお客様で、
2月に税務調査のあった案件が、
ようやく税務署との調整が終了し、
本日、
修正申告書を提出

一つ仕事が終了すると安心しますが
明日は、
別の会社の税務調査が実施されます

心と体が休まる時間がないのが、
現状です

さて、
世間でも、
これから3月決算会社の決算や申告があるので、
税務署としても、
「不適切な節税してはいけませんよ。
税金を払ってね。」と、
アピールしないといけません。

本日、
税務署のターゲットにされてしまったのが、
日本IBM社

IBMが4000億円申告漏れ 連結納税制度を悪用か、過去最大規模(産経新聞)

この記事を読むと、
日本IBM社には,
日本にAPH社(アイ・ビー・エム・エイ・ピーホールディングス)という親会社があって、
このAPH社は、
日本IBM社の株式を所有するアメリカIBM社から、
日本IBM社株式を購入し、
それを日本IBM社に売却して(つまり、日本IBM社から見ると自社株買い)、
その際に、
平成20年12月期までの5会計期間で、
APH社には、
合計4000億円の売却損を計上したようです。

なお、
APH社は、
平成20年12月期から、
子会社を含むグループの税金計算について、
連結納税制度を利用して、
計算と納税をしているそうです。

連結納税制度では、
親会社と100%子会社のグループ会社を、
ひとつの会社とみなして、
税金計算をします。

そうすると、
グループ内に、
赤字の会社と黒字の会社があるのであれば、
連結納税制度を利用しない場合に比較して、
その会計期間の税金の支払額を少なくすることができるというわけです。

今回の事例では、
このAPH社は、
日本IBM社の株式の売却で、
平成20年12月期までの5会計期間で、
合計4000億円の売却損があったので、
平成20年12月期から連結納税制度を適用することによって、
日本IBM社の黒字と、
APH社の赤字を相殺し、
グループの法人税納税額がゼロ円にしていたそうです

これに、
文句をつけたのが、
国税庁。

国税庁は、
APH社は、
企業の実態が乏しく、
かつ、
その存在理由は、
自社株取引で赤字を計上し、
連結納税制度を適用した時に、
IBMグループの税金の負担を軽くする租税回避行為を目的として、
設立した会社であると決めつけたようです

その結果、
この4000億円の売却損の計上は、
認められなくなり、
したがって、
この4000億円の売却損と日本IBM社の所得が相殺できなくなった結果、
所得が約1千数百億円発生することになり、
300億円超の追徴課税が課されたということです

この新聞記事によると、
日本IBM社は、
税務署の処分は認められないということで、
戦うようです。

さて、
どちらが勝つのでしょうか

もっとも、
このような複数の会社を使って節税をする時には、
必ず、
外資系会計税務コンサルタント会社が、
提案をして、
会社は、
その指示のもとに実行をして、
外資系会計税務コンサルタント会社は、
巨額の報酬を得ます

どこのコンサルタント会社が提案したかは不明ですが、
税務署に当該取引を否定され、
すごーーーく、
焦っていると思います

会計税務は、
当事者が「大丈夫」と判断しても、
税務署の見解一つで、
最終的な判断が決定されるので、
事例によっては、
非常にリスクが高い場合があります。

私も、
提案する場合に、
いろいろ調べて、
「大丈夫です」と判断した場合でも、
「大丈夫だよなーーーー」と、
ちょっと不安に感じる場合があります。

いやーーー、
怖い世界です

さて、
明日の税務調査、
がんばります



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