2010年09月24日

ファイルの改ざんで思い出したある会社の税務調査

今週のびっくりしたニュースと言えば、
大阪地検の特捜部がFDの日付を改ざんしたというニュースです。

前特捜部長らを一斉聴取へ大阪地検、FD改ざん疑惑で(朝日新聞)

この事件の概要は、
大阪地検の主任検事が、
押収したFDに入っていたデータの最終的な更新日時を、
当初の「04年6月1日」から、
専用ソフトウェアを使用して、
「04年6月8日」に書き換えたということです。

Windowsだと、
パソコンに保存しているファイルは、
右クリックして、
「プロパティ」を選択すると、
作成日時・更新日時・アクセス日時が表示されます。

大阪地検の主任検事は、
この更新日時を専用ソフトウェアを使用して別の日付に書き換えたようです

このニュースを聞いて、
数年前に実施されたお客様の会社の税務調査を思い出して、
嫌な気持ちになりました

その税務調査は、
30歳前後の若手税務署職員が、
1人で担当していました。

税務調査を半日ぐらい受けた結果、
その税務署職員は、
鋭い感覚と正確な税務知識があり、
さらに、
現場経験もあり、
かつ、
社会人としての礼儀行儀も備えている優秀な税務署職員だということが、
私にはわかりました。

会社の顧問税理士の私としては、
「やばい奴が、
来ちゃったなー」ということで、
税務上、
大きな問題となるような点を発見される予感がして、
私は、
無茶苦茶、
暗い気持ちになっていました

第2日目の調査では、
会社が従業員に支払った決算賞与について、
調べられました。

この会社では、
1年間の業績が良ければ、
決算日後に、
従業員に賞与を支払っています。

この決算日後に支払う賞与についての税法上の取り扱いが、
国税庁のタックスアンサーに説明されています。

使用人賞与の損金算入時期(国税庁タックスアンサー)

決算日が経過してから支払う決算賞与は、
上記の(3)に従い、
税務上は、
支払った会計期間の経費(損金)となります。

したがって、
決算日後に支払った決算賞与は、
税法上は、
次の会計期間の経費(損金)になるので、
その会計期間の利益を減額することはできないということになります。

しかし、
これには例外が認められています。

ある条件を満たせば、
決算日を含む会計期間の経費(損金)にできるのです。

その条件が書いてあるのが、
上記の(2)です。

上記(2)では、
イ・ロ・ハの3条件に分かれていますが、
わかりやすく書くと、
以下のようになります。

1・決算日までに各人ごとに支給金額を通知
2・そのことを経理の帳簿に記録(未払い計上)する
3・決算日から1カ月以内に各人に支払う

通常の税務調査では、
2は、
帳簿を見れば確認でき、
3は、
銀行の預金通帳を見れば確認できます。

そして、
1は、
「どうやって通知したのですか」といった質問で終ることが多いです。

このように税務調査の手法がパターン化しているので、
決算賞与については、
税務調査前の対策は、
しっかりできます

ところが、
このときの税務調査では、
ちょっと冷や汗が流れるような展開となってしまいました。

「どうやって各人に支払い金額を通知したのですが?」という税務署職員の質問に、
この会社の社長さんが、
支払い金額を通知した文書を、
ノートパソコンに表示して、
税務署職員に見せました。

そうしたら、
税務署職員が以下のような要求を、
勝ち誇った表情でしました。

「では、
その文書のファイルのプロパティを表示して、
見せてください。」

その一言を聞いて、
私は焦りました

「やばい。
大丈夫かな?」

税務調査では、
税務署が提出を要求した書類について、
印刷した状態で見せるのがベストの方法です

なぜなら、
パソコンの画面上で見せると、
パソコンの中に保存している他のデータを見せろとか、
どんどん要求が拡大し、
税務上の問題点が発見されることがあるからです

決算賞与については、
決算日の前は忙しくって、
きちんと各人ごとに支払い金額を明記した文書を作成していなくて、
決算日後に、
文書を作成することがあります。

そんな時には、
その文書のファイルのプロパティの作成日時や更新日時を見ると、
作成日後に作成したことが、
わかってしまうというわけです

税務調査の前には、
支払いを通知した文書があるかについては、
確認をして、
税務署職員が要求したら提出できるように用意はしてありますが、
ファイルのプロパティの作成日時や更新日時について、
私は、
確認していなかったので、
焦って、
不安になったというわけです

幸いなことに、
この会社の場合は、
きちんと決算日前に作成していて、
その事実が、
その文書のプロパティの作成日時で確認できたので、
問題ありませんでした

もちろん、
税務署職員の表情は、
勝ち誇った表情から、
落胆の表情に変化したことはいうまでもありません

あの税務調査から数年経過しましたが、
税務署職員が、
勝ち誇った表情で質問したことは、
今でも忘れられません。

それだけに、
ファイルのプロパティで、
作成日時や更新日時がわかり、
それを改ざんしたという今回の報道を聞くと、
嫌な思い出が蘇りました


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