2010年09月30日

シェ松尾の倒産と飲食業の決算書(ひらまつとゼンショー)

昨日、
株式会社武富士が会社更生法の適用を申請して、
倒産しました(産経新聞)。

今年になってから上場企業の倒産は、
6社目です。

2009年は、
上場企業で倒産したのは20社なので、
倒産する上場企業の数は、
減少していると言えますが、
年末に向けて、
倒産する上場企業があると思うので、
注意は必要です。

さて、
少し古い話ですが、
高級レストランとして有名なシェ松尾が、
9月16日に倒産しました(東京商工リサーチ)。

上記の東京商工リサーチなどの報道によると、
正確には、
シェ松尾という法人格では、
資金繰りができなくなったので、
事業は、
他の会社に事業譲渡をして、
シェ松尾という会社は、
解散へ向けて準備を開始したようです。

したがって、
レストランなどの営業は継続しているので、
シェ松尾のホームページを見ると、
「倒産ではない」と書いてありますが、
実質的には、
倒産ですね。。。。

シェ松尾のホームページに掲載されているメニューを見ると、
ランチは、
6,000円以上、
ディナーは、
飲み物を含めると、
15,000円以上からだと思います。

なお、
上記は、
1名の料金です。。。

シェ松尾で食べたことがない私が言うのは、
説得力はないですが、
上記の価格の半分ぐらいの価格のお店でも、
ほぼ同等の満足感を得られるのではないかと想像できるので、
シェ松尾の事業が厳しくなる理由が、
よーく分かります

残念ながら、
シェ松尾は、
上場企業ではないので、
決算書は見ることはできません。

そこで、
飲食系企業の決算書を見てみました。

まず、
シェ松尾と同じように高級レストラン業態を展開しているのが、
株式会社ひらまつです。

ひらまつは、
9月決算なので、
最新の年次決算は、
2009年9月期です。

私が良く利用し、
みなさんに紹介する決算短信では、
お店の食材と人件費などの関係が分からないので、
EDINETで検索して、
有価証券報告書を見てみます。

そうすると、
売上が、
約101億円、
ここから売上原価を引いて計算される売上総利益が約54億円、
さらに、
販売費及び一般管理費を差し引いて計算される営業利益が10億円弱です。

つまり、
極論すると、
レストランで10,000円のコースを食べると、
5,000円が食材費とお店の人件費や水道光熱費、
4,000円が広告宣伝費や本社などのいろいろな経費で、
会社の利益は、
1,000円ということになります。

さらに、
平成21年9月期の有価証券報告書の72ページの製造原価報告書などを参考にすると、
売上原価における材料費・労務費・経費の割合は、
7:2:1です。

つまり、
上記の10,000円のコースの例を再度使用すると、
食材が3,500円、
コックさんやウエイターの人件費が1,000円、
500円がお店の水道光熱費などということになります。

食事の味や楽しさを壊してしまうような内容を書いてしまい、
申し訳ありません
もう1社見てみましょう

今度は、
毎日利用できる価格帯を提供している株式会社ゼンショーを見てみましょう。
この会社は、
牛丼の「すきや」が有名ですが、
そのほか、
和食・洋食など様々な業態を展開しています。
 
ちなみに、
社名のゼンショーという社名は、
ビジネスで「全勝するぞ」ということで、
「全勝」をカナカナ読みにしたようです。

ゼンショーは、
3月決算なので、
最新の年次決算は、
2010年3月期です。

この会社は、
多くの業態を展開していて、
分析が難しいので、
EDINETで検索して、
有価証券報告書で、
親会社の分析をしてみます。

親会社は、
ぎゅうどんの「すきや」を展開しています。

そうすると、
平成22年3月期の有価証券報告書の79ページには損益計算書が、
80ページには製造原価報告書が記載されています。

売上が、
約1,622億円、
ここから売上原価を引いて計算される売上総利益が約917億円、
さらに、
販売費及び一般管理費を差し引いて計算される営業利益が約82億円です。
つまり、
極論すると、
牛丼を1,000円分食べると、
(ちなみに、
牛丼並盛で1杯280円です。) 
435円が食材費とお店の人件費や水道光熱費、
515円が広告宣伝費や本社などのいろいろな経費で、
会社の利益は、
50円ということになります。

薄利多売のビジネスモデルです
さらに、
材料費・労務費・経費の合計435円の内訳は、
食材が416円、
コックさんや店員の人件費が11円、
8円がお店の水道光熱費などということになります。

上記2社からの考察でわかるのは、
売上に対する食材の金額は、
4割前後というのが見えてきます

それから、
経営規模が大きくなると、
売上に対する広告宣伝費や本社の金額は、
4-5割前後で、
意外に負担が重いということが見えてきます

飲食店経営は、
現金商売なので、
経営が簡単だと思われています

しかし、
数字を見てみると、
売上に対する利益率は低いです

これは、
参入障壁が低くて、
競争が激しいというのが通説です

飲食店を経営する人は、
上記の数字を参考にしてください

また、
食事をする人は、
本日読んだ内容は忘れて、
料理やお店の内装、
そして、
接客サービスを楽しんでください
 


Posted by cpiblog01033 at 16:55│Comments(0)