2010年10月02日

ブルガリのレストランと決算書

当事務所は、
会計事務所なので、
業種としてはサービス業に属します。

したがって、
他の会社やお店のサービスを経験すると、
勉強になることが多いです。

ところで、
サービスは、
本などで読むのではなく、
実際に経験をしないとその良さがわかりません

しかし、
経験をするコストが高すぎると、
その経験ができません

得られる経験と価格のちょうど良いバランスが必要です

今回は、
そのちょうど良いバランスで、
良いサービスを経験してきました

銀座のブルガリのお店の9Fにある「ブルガリ イル・リストランテ」というイタリヤ料理店で食事をしました

ただし、
ディナーはお値段が高いので、
ランチです。

今回は、
ランチで7,000円のコースにしました。

ランチとして考えると、
価格が高いですが
銀座のビルの9Fという眺めの良い場所で、
お世話になった人や大切な人を招待して、
ゆったりとランチするコストとしては、
ぎりぎりでセーフだと思います

店内は、
アジアンな感じの内装です。

天井は非常に高く、
解放感にあふれていて、
リラックスでき、
ゆったりと楽しい時間を過ごすことができます。

また、
料理は、
素材の味を大切にした調理法で、
量も適切。

おいしかったです

もちろん、
接客サービスにも問題はなく、
素敵な時間を過ごすことができました

私のレストランの評価ポイントは、
1・価格
2・味
3・接客サービス
4・内装
5・立地

の5点ですが、
この「ブルガリ イル・リストランテ」は、
どの点からも満足でした。

女性をご招待する場合には、
その女性の年齢に関係なく、
非常に評判は良いと思います

もっとも、
気分良くお店を出てると、
そのまま1階のブルガリのお店に入るのが自然な流れです

お店に入り、
宝石や時計を見る女性の表情が、
どんどんと熱気を帯びるのを見ると、
レストランで得られた幸せ気分が、
どんどん現実の世界に戻ってきます

さて、
ここから第2ラウンドです。

ここが、
ブルガリの日本語版のホームページです。

このブルガリのホームページの右下に「インベスター向け情報」があるので、
クリックしてください。

英語版IRのページにリンクします。

ここで、
「Annual and interim Reports」をクリックすると、
年ごとの年次決算書(Annual Reports)と半期報告書(Interim Reports)を見ることができます。

12月決算なので、
2009年12月の年次決算書(英語版)を見てみます。
イタリア語版もあります。)

英語版は214ページ、
イタリア語版は216ページもあります。

13枚目(PDFの枚数です)には、
部門別売上高が表示されています。

宝石43%
時計23%
香水・化粧品24%
アクセサリー7%
ホテル・飲食2%
ロイヤリティー1%

つまり、
宝石、時計、香水・化粧品が主力製品の会社です。

同じく13枚目(PDFの枚数です)には、
地域別別売上高が表示されています。

イタリア以外のヨーロッパ26%
日本以外のアジア23%
日本19%
アメリカ12%
イタリア12%
その他8%

つまり、
日本を含むアジアが全体の42%を占めていることが分かるので、
アジアの景気動向とブルガリ社の業績は、
深い相関関係にあることが予想できます。

それから、
この13枚目には株主構成も書いてあります。

なんと、
50.61%うぃブルガリ一族でもっています。

うらやましい。

さて、
49枚目から決算書です。

ちなみに、
ブルガリグループの決算書は、
61枚目を見ると、
国際会計基準(IFRS)で作成されていることがわかります。

まず、
49枚目が損益計算書です。

売上が、
926,568千ユーロなので、
1ユーロ=114円で計算すると、
約1,056億円です。

前年同期比13.8%のマイナスです。

営業利益は、
19,823千ユーロの赤字なので、
1ユーロ=114円で計算すると、
約22億円の赤字です

ちなみに2008年12月期は、
営業利益が黒字で、
売上高営業利益率は、
10.3%でした。

リーマンショックが起きたのが、
2008年9月なので、
ブルガリとしては、
2009年は、
世界的な景気後退の影響を受けて、
赤字になってしまったということだと思います。

もっとも、
52枚目を見ると貸借対照表があるので、
自己資本比率を計算すると、
60.8%だし、
53枚目のキャッシュ・フロー計算書を見ても、
営業活動によるキャッシュ・フローは、
プラスなので、
倒産の心配はありません。

なお、
どこの部門の赤字が大きいのかを見ようと思って、
101枚目を見ると、
どこの部門が赤字なのかを分からないような書き方をしていました。

こんな書き方ありなんでしょうか

それから、
112枚目以降は、
各子会社の数字が公表されています。

この情報は、
日本の有価証券報告書では公表されていない情報です。

ちなみに、
ブルガリ・ジャパンは、
資本金1億円。

2009年12月期の売上は、
約192億円で、
約8億2900万円の赤字

もっとも、
自己資本比率は、
30.4%だし、
倒産の危険性はありません。

ちょっとびっくりなのは、
純資産の合計金額。

77億円あります

資本金が1億円なので、
76億円ぐらい累計の利益があるのでしょうか。

過去にたっぷりと儲けているようです。

さて、
2010年12月期の半期(1月から6月まで)の決算書(Interim Reports)も見てみましょう。

6枚目を見ると、
部門別の売上が分かります。

この半期では、
宝石部門が15%増、
香水・化粧品部門が16%増、
アクセサリー部門が25%増と順調に回復していますが、
時計部門は、
1%減となっています。

8枚目を見ると、
地域別の売上が分かります。

この半期では、
アメリカで53%増、
日本以外のアジアで26%増と順調に回復していますが、
日本では1%増、
ヨーロッパは、
1%増と地域によって差があることが分かります。

さて、
16枚目から決算書です。

まず、
16枚目が損益計算書です。

売上が、
443,270千ユーロなので、
1ユーロ=114円で計算すると、
約505億円です。

前年同期比11.8%のプラスです。

営業利益は、
12,295千ユーロの黒字なので、
1ユーロ=114円で計算すると、
約14億円の黒字です。

しかし、
売上高営業利益率は、
2.8%なので、
効率良く儲かっているとは言えない状態です

そのため、
税引前当期純利益と税引後の当期純利益は、
前年同期と同様に赤字です

さらに、
20枚目のキャッシュ・フロー計算書を見ると、
在庫に関する為替の影響(ユーロ安)などで、
在庫の金額が増加し、
営業活動によるキャッシュ・フローは、
マイナスになってしまいました

大丈夫でしょうか?

なお、
54枚目を見ても、
部門別の損益は、
年次と同様に分からない書き方をしています。

また、
半期には日本の子会社の決算書の情報が掲載されていませんでした。

ブランドビジネスって、
見た目は華やかですが、
実情は大変なことがわかりました

なお、
銀座には、
ブルガリのほか、
シャネルアルマーニもレストランがあるので、
今後も、
「ランチ」を楽しみ、
サービスを経験して、
いろいろと勉強して、
当事務所の業務に反映したいと思います




Posted by cpiblog01033 at 22:37│Comments(0)