2011年02月12日

ちゃんと経営ができなくて倒産した「ちゃんと」

3連休ですが、
1日目は、
主に、
申告書などお客様の仕事をするために、
出社です

2日目は、
パソコンの入れ替えや帳簿作成など、
事務所経営のための仕事をするために、
出社です

さて、
そんな仕事の合間に、
帝国データバンクのホームページを見ていたら、
「「株式会社ちゃんと」が民事再生法の適用を申請」という情報を見つけました。

ちなみに、
ちゃんと」のホームページには、
民事再生法の適用を申請したことは、
一言も書いてありません

「ちゃんと」は、
いくつの業態の飲食店を展開している会社で、
社長の岡田賢一郎氏は、
数年前に、
「イケテル感じの社長さん」として、
何度か経営者向け雑誌等に登場していました

そうなんです。

先日、
会社更生法の適用を申請した「林原」と一緒で、
数年前には、
「イケテル感じの社長さん」や「イケテル感じの会社」だったのに、
数年後には、
砕け散ってしまったわけです

輝き続けることは難しいわけです

これが、

「イケテル感じ」はするけど、
「今」となっては、
金融機関や取引先への「お詫び」の文章を、
早く掲載するべきです

この「ちゃんと」の倒産のニュースを見て、
思い出したことがあります。

「ちゃんと」が経営している飲食店に、
橙屋(だいだいや)」があります。

この橙屋赤坂店は、
当事務所そばにある「ベルビー赤坂」の9Fに入居しています。

お店は9Fなので、
窓からの眺めは良く、
また、
料理もおいしいので、
当事務所に、
新しくスタッフやアルバイトが加わると、
出社初日は、
新人と一緒に、
みんなでこの橙屋赤坂店でランチをするのが、
当事務所の恒例行事でした

ところが、
1年以上前ぐらいに、
いつものように、
新人スタッフの出社初日に、
みんなで橙屋赤坂店に行ったら、
料理人がいないのか、
ランチが注文してから出てくるまで、
30分ぐらいかかりました

さらに、
「ご飯のお代わりができます」ということで、
ご飯のお代わりを注文すると、
「現在お米を炊いていて、
お代わりが出せません」という驚愕の事態にも遭遇しました

今から思い出してみると、
あのころから、
お店の現場は、
人が足りないし、
運営や管理が、
できていなかったのかもしれません

なお、
この事件以来、
当事務所の新人出社初日のランチは、
木曽路赤坂店」となりました

さて、
話を、
会社の話に戻しましょう

株式会社ちゃんとの資本金は、
3億9774万1070円と書いてあるので、
上場を目指して、
ベンチャーキャピタルなどの出資を受けていたのかもしれません。

負債は、
2010年2月末時点で約36億1100万円ということなので、
自己資本比率は、
10%以下だなと思っていたら、
2010年2月期には、
債務超過になっていたようです

この債務超過の原因の一つが、
米国子会社に対する回収不能債権の償却だそうです。

会社の「News Release」を見ると、
2006年4月8日に「CHANTO New York店」を開店したと、
2006年4月4日に発表しています。

当時は、
「イケイケ」だったから、
強気で、
華やかなNew Yorkに進出したんでしょう

「今」となっては、
中国の上海や北京でもなく、
アメリカのLos Angelsでもなく、
New Yorkに出店してしまったところが、
数字に基づく「客観性」や「市場性」の経営ではなく、
経営者の「見た目重視」の経営を感じます。

また、
このNews Releaseを見ると、
2005年10月19日には、
自社ビルをニューアルしていて、
これも、
「今」となっては、
かなり「痛い」内容です

岡田社長は、
典型的な「イケテル」創業社長で、
当時は、
経営幹部から金融機関の人を含めて、
岡田社長のことを褒めまくっていたのでしょう

そんなわけで、
2007年2月期には、
順調に、
売上高約69億500万円を計上

しかし、
2010年2月期は、
売上高は約48億5200万円ということで、
約30%ダウン

負債が約36億円ある会社としては、
厳しい状況です

もっとも、
この会社のすごいところは、
2010年2月期に債務超過になったのだから、
さらにリストラを加速するのかと思ったら、
2010年3月以降に、
五反田、新宿、横浜に4店出店しています

V字回復を目指したと想像できますが、
V字回復には、
資金力と、
競争力のある商材や製品が必要です

勢いだけでは厳しいですよね

「今」となっては、
勢いだけの経営から、
「ちゃんと」経営することに変わる機会はあったのに、
それを逃したように見えます

創業社長の「直感」や「勢い」は必要ですが、
企業経営が守りの時には、
経営スタイルや考え方を「ちゃんと」変えることも必要です

林原と同様、
今回の倒産も、
学ぶことがたくさんあると思います。




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