1日目は、
主に、
申告書などお客様の仕事をするために、
出社です
。

2日目は、
パソコンの入れ替えや帳簿作成など、
事務所経営のための仕事をするために、
出社です
。


さて、
そんな仕事の合間に、
帝国データバンクのホームページを見ていたら、
「「株式会社ちゃんと」が民事再生法の適用を申請」という情報を見つけました。
ちなみに、
「ちゃんと」のホームページには、
民事再生法の適用を申請したことは、
一言も書いてありません
。

「ちゃんと」は、
いくつの業態の飲食店を展開している会社で、
社長の岡田賢一郎氏は、
数年前に、
「イケテル感じの社長さん」として、
何度か経営者向け雑誌等に登場していました
。

そうなんです。
先日、
会社更生法の適用を申請した「林原」と一緒で、
数年前には、
「イケテル感じの社長さん」や「イケテル感じの会社」だったのに、
数年後には、
砕け散ってしまったわけです
。

輝き続けることは難しいわけです
。

この「ちゃんと」の倒産のニュースを見て、
思い出したことがあります。
「ちゃんと」が経営している飲食店に、
「橙屋(だいだいや)」があります。
この橙屋赤坂店は、
当事務所そばにある「ベルビー赤坂」の9Fに入居しています。
お店は9Fなので、
窓からの眺めは良く、
また、
料理もおいしいので、
当事務所に、
新しくスタッフやアルバイトが加わると、
出社初日は、
新人と一緒に、
みんなでこの橙屋赤坂店でランチをするのが、
当事務所の恒例行事でした
。

ところが、
1年以上前ぐらいに、
いつものように、
新人スタッフの出社初日に、
みんなで橙屋赤坂店に行ったら、
料理人がいないのか、
ランチが注文してから出てくるまで、
30分ぐらいかかりました
。

さらに、
「ご飯のお代わりができます」ということで、
ご飯のお代わりを注文すると、
「現在お米を炊いていて、
お代わりが出せません」という驚愕の事態にも遭遇しました
。

今から思い出してみると、
あのころから、
お店の現場は、
人が足りないし、
運営や管理が、
できていなかったのかもしれません
。

なお、
この事件以来、
当事務所の新人出社初日のランチは、
「木曽路赤坂店」となりました
。

さて、
話を、
会社の話に戻しましょう
。

株式会社ちゃんとの資本金は、
3億9774万1070円と書いてあるので、
上場を目指して、
ベンチャーキャピタルなどの出資を受けていたのかもしれません。
負債は、
2010年2月末時点で約36億1100万円ということなので、
自己資本比率は、
10%以下だなと思っていたら、
2010年2月期には、
債務超過になっていたようです
。

この債務超過の原因の一つが、
米国子会社に対する回収不能債権の償却だそうです。
会社の「News Release」を見ると、
2006年4月8日に「CHANTO New York店」を開店したと、
2006年4月4日に発表しています。
当時は、
「イケイケ」だったから、
強気で、
華やかなNew Yorkに進出したんでしょう
。

「今」となっては、
中国の上海や北京でもなく、
アメリカのLos Angelsでもなく、
New Yorkに出店してしまったところが、
数字に基づく「客観性」や「市場性」の経営ではなく、
経営者の「見た目重視」の経営を感じます。
また、
このNews Releaseを見ると、
2005年10月19日には、
自社ビルをニューアルしていて、
これも、
「今」となっては、
かなり「痛い」内容です
。

岡田社長は、
典型的な「イケテル」創業社長で、
当時は、
経営幹部から金融機関の人を含めて、
岡田社長のことを褒めまくっていたのでしょう
。

そんなわけで、
2007年2月期には、
順調に、
売上高約69億500万円を計上
。

しかし、
2010年2月期は、
売上高は約48億5200万円ということで、
約30%ダウン
。

負債が約36億円ある会社としては、
厳しい状況です
。

もっとも、
この会社のすごいところは、
2010年2月期に債務超過になったのだから、
さらにリストラを加速するのかと思ったら、
2010年3月以降に、
新卒の社員を募集し、
五反田、新宿、横浜に4店出店しています
。

V字回復を目指したと想像できますが、
V字回復には、
資金力と、
競争力のある商材や製品が必要です
。

勢いだけでは厳しいですよね
。

「今」となっては、
勢いだけの経営から、
「ちゃんと」経営することに変わる機会はあったのに、
それを逃したように見えます
。

創業社長の「直感」や「勢い」は必要ですが、
企業経営が守りの時には、
経営スタイルや考え方を「ちゃんと」変えることも必要です
。

林原と同様、
今回の倒産も、
学ぶことがたくさんあると思います。