ある会社を初めて訪問しました。
訪問目的は、
いわゆる「営業」です
。

この訪問した会社は、
設立して10年近く経過している会社なので、
既に、
決算や税金の申告を委託している会計事務所はあります。
そこで、
研修の講師として、
「営業」に行きました。
若干、
不安な点がありましたが、
無事、
研修を実施する話は、
交渉が妥結しました
。

この営業をしている時に、
短い時間ですが、
社長さんと取締役の人のお話を聞かせていただきました。
このお話しの中でびっくりしたのは、
会社の決算書を社員に公表しているという話です
。

ちなみに、
この会社は、
従業員50人前後の上場していない会社です。
上場していない会社では、
上場している会社と異なり、
決算書を公表する義務はないので、
一般的には、
社員には、
決算書を公表していません
。

しかし、
社員の人数が増えてくると
会社に関する数字がまったく公表されていないと、
社員と一丸となって、
会社を成長させたり、
危機感を持ってもらうのは難しいので、
売上高だけとか、
売上高と営業利益だけを、
社員に公表している会社もあります
。

しかし、
多くの上場していない会社では、
決算書は、
公表していないという会社が多いです。
理由は、
いくつか考えられます。
公表していない理由として、
社長や社長一族の年収を推定されるのが嫌だということがあります
。

また、
公表しない他の理由として、
利益の金額を公表したり、
社長や社長一族の年収を推定されてしまうと、
社員に、
給料や待遇の不満が高まり、
いろいろな要求を迫られるのではないかという漠然とした不安もあると思います
。

もっとも、
社長さんにしてみると、
高い年収は、
自分自身の蓄財の目的だけでなく、
会社の資金不足に備えて、
貯金する目的があります
。

また、
社長さんは、
リスクを取って、
事業をしているので、
年収は、
そのリスクを取ったことに対する見返り(リターン)なのだから、
社長さんの年収の金額だけ見て、
年収が多いと批判を浴びるのは、
社長さんにとって不本意でしょう
。

そんなわけで、
私が関心を持ったのは、
この会社の社員のみなさんが、
公表された決算書を見て、
どのような反応をするのかということです。
そこで、
社長さんと取締役の人に質問をしました。
「社員の人は、
公表された決算書を見て、
どのような反応をしますか
」

社長さんの回答に、
私は、
再度、
びっくりしました。
「関心がないようです
。」

この会社は、
業績が比較的好調なので、
従業員の人は、
会社に対する満足度が、
相対的に高いようです。
したがって、
他社と比較して、
雇用や年収が安定しているので、
「利益が計上されているのだから、
もっと給料を上げろ!」とは言わないのだと思います。
もっとも、
この会社では、
このような結果になったからと言って、
私が、
お客様の会社に、
「会社の決算書を社員に公表しても、
大丈夫ですよ」とは言えません
。

社員に決算書を見せることは、
良い点も悪い点もあると思います
。

上場していない会社が、
決算書を公表する場合には、
社員に内容を丁寧に説明するとともに、
良い反応や悪い反応など、
いろいろなことを想定しておくことが必要だと思います
。

また、
社外に決算書の内容が漏れない仕組みや手続きも必要でしょう
。

ちなみに、
当事務所では、
当事務所の決算書は、
社員には、
非公開となっています
。

もう少し人数が増えてきたら、
いろいろと考えないといけないですね
。
