2011年03月27日

寄付をすると、所得税はどれぐらい少なくなるか

地震から2週間が経過しました。

1日も早い復興が望まれますが、
多くの人が、
まだ避難所などで、
辛い生活を送っています。

その人たちのために、
少しでも助けになればということで、
各界著名人が、
積極的に寄付をしています 

個人として、
一番金額が多いのは、
今のところ久米宏さんの2億円(久米宏さん、2億円を寄付(朝日新聞) )だと思います 

そんなこともあり、
いろいろな人から、
個人で寄付した場合の税金上の扱いについて、
質問をいただいているので、
まとめてみました 

まず、
今回の震災関係で、
寄付した人については、
国税庁の以下のサイトに、
記載があります。


寄付をした人は、
寄付した相手先が、
特定寄付金に該当していれば、
税制上の恩典が受けられます。

これを説明したのが、
です。

個人の場合、
特定寄付金に該当すれば、
特定寄附金の額の合計額から2,000円を控除した金額が、
所得から控除されます 

その結果、
所得が減るので、
その所得に税率を乗じた金額の税金が、
安くなります 

ただし、
特定寄附金の額の合計額には限度額があって、
所得金額の 40%相当額となっています  

なお、
特定寄付金として扱われるのは、
国や地方公共団体、
赤十字や中央募金共同団体への寄付だけではありません 

募金団体が受ける義援金等が、
最終的に国や地方公共団体に拠出されるものであることが、
新聞報道、募金要綱、募金趣意書等で明らかにされている場合には、
特定寄付金の対象に含まれます 

上記の「東北地方太平洋沖地震に係る義援金等に関する税務上の取扱いについて(国税庁)」に書いてあるので、
確認してください 

さて、
特定寄付金に該当すると、
どれぐらい税金は、
少なくなるのでしょうか?

以下は、
簡略的な概算です。

たとえば、
久米宏さんのように2億円寄付した場合、
話を簡単にするために、
所得=年収とすれば、
年収が5億円あると、
5億円×40%=2億円で、
寄付したお金の全額が、
特定寄付金の控除の対象となります。

ちなみに、
年収が5億円だと、

そうすると、
この2億円の寄付をしなければ、
所得税は、
5億円×40%=2億円
となります。

次に、
2億円の寄付が全額特定寄付金の対象となれば、
所得税は、
(5億円−2億円)×40%=1億2,000万円

つまり、
2億円の寄付をすると、
所得税は、
8,000万円(=2億円−1億2,000万円)少なくなるということになるので、
実質的な資金の支出は、
1億2,000万円ということになります。

このように、
寄付と税金の話を関係させると、
「善意」という心の問題を、
お金に関係させることになるので、
不愉快な感情を持つ人がいるかもしれません 

しかし、
寄付する側からすれば、
税金で支払ってしまうと、
何に使われるかわからないですが、
寄付すれば、
赤十字等を通じて、
震災で困っている人や、
復興のために使われ、
使途が限定されているので、
安心して資金を提供できるということになります 

このように、
寄付をすると、
震災の被害に苦しんでいる人の助けになるし、
さらに、
税金の恩典があるので、
できる範囲で、
寄付をしましょう 

それから、
個人の税金は、
所得税のほかに、
住民税があります。

寄付金に関しては、
所得税と住民税では、
取り扱いが異なります 

所得税では、
寄付金は、
上記のように所得から控除されるのですが、
住民税の場合には税額から控除されます。

そこで、
住民税における寄付金の扱いについては、
別途書きたいと思います。

最後に、
寄付に関して、
税制の恩典を受けるためには、
確定申告をする必要があります  

具体的には、
平成23年中にした寄付金は、
平成24年3月15日までに、
税務署に確定申告すると、
税金の金額が少なくなります。

その際には、
寄付金を支払った証明書や納付した受領書を、
申告書に添付することが必要となるので、
来年の確定申告時まで、
証明書や納付書を保管しておいてください 





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