地震の発生から2週間が経過しましたが、
まだまだ地震や原子力発電の問題が大きく、
普段なら、
大きな問題となるような事件も、
大きく報道をされることはありません。
そんな事件の一つが、
24日に報道をされていました 。
音楽CDなどのレンタル大手であるゲオ の連結子会社である株式会社リテールコム社で、
不適切な取引を行っていた可能性があると発表しました。
会社の発表は、
これ です。
この発表文によると、
この不適切な取引は、
売上先からの指摘で発覚したようです。
当期業績への影響は不明と書いてありますが、
この発表された文章からは、
売掛金残高5億5,000万円と買掛金1億8,000万円との差額、
3億7,000万円が架空売上(または債権の未回収)ということで、
損失処理されるのでしょう。
実際には、
不適切な取引を行った社員の退職金を支払わず、
さらに、
不適切な取引を実行した社員の親族などから、
現金を回収するので、
実際の損失額は、
3億7,000万円よりも少なくなるのかもしれません。
なお、
この会社の発表文からでは、
どのような不正をしたのかが不明ですが、
マスコミ各社の報道を読むと、
より詳しく分かります 。
例えば、
以下は、
毎日新聞です。
この毎日新聞の報道を読むと、
不適切な取引をした目的は、最近の不正では、
メジャーとなっている売上を増やすためで、
手法は、
これもメジャーとなっている循環取引だそうです 。
循環取引には、
使用できないSDカードの偽物が使用されたそうです 。
偽物のSDカードを使用したというのが謎ですが、
倉庫の入出庫の記録を残すために、
モノを動かさないといけないということで、
使用できないSDカードの偽物が選ばれて、使用されたと推定されます。
さて、
ゲオ社の業績を確認してみましょう。
まず、
平成22年3月期の決算短信 を見てみましょう。
売上高は、
3.8%減の2,426億円ですが、
営業利益は、
30.4%増の133億円で、
売上高営業利益率は、
4.1%から5.5%に改善されています。
改善されたとはいえ、
売上高営業利益率は、
日本企業の平均的な売上高営業利益率4%よりほんの少し良いだけですが、
自己資本当期純利益率(ROE)が、
19%というのは、
海外の企業と比較しても、
悪くない水準です 。
そのほか、
自己資本比率は、
32.3%だし、
営業活動によるキャッシュ・フローは、
黒字なので、
安全性に問題はありません 。
今度は、
平成23年3月期第3四半期決算短信 を見てみましょう。
平成23年3月期の業績予想は、
売上高は、
5.5%増の2,560億円で当初より変更がなく、
営業利益は、
1.3%増の135億円で、
こちらも当初より変更がなく、
順調に経営が行われているようです。
以上より、
この利益の水準なら、
今回の震災で、
多少、
業績への悪影響があったとしても、
今回の不適切な取引で生じた3億7,000万円を、
損失処理しても、
業績には大きな影響がないと推測できます 。