2012年02月28日

決算短信を読んでいればエルピーダの倒産を予見できたか?


これから、
多くの会社で決算となる3月前に、
規模の大きい倒産が生じました

まずは、
エルピーダメモリー社が公表した「会社更生手続き開始の申し立てに関するお知らせ」を読んでみましょう

これを読むと、
倒産の原因が、
「資金繰りが破たんすることが必至の状況になった」と書いてあります

これこそ倒産といった王道の理由です

具体的には、
以下の毎日新聞の記事がわかりやすく書いてあります。

エルピーダ:会社更生法の適用申請 負債4,480億円(毎日新聞)

なお、
今月の24日の毎日新聞の記事は、
この会社更生法の適用申請を予見する記事だったように思えます

エルピーダメモリ:6割減資、861億円に 政投銀出資金、返還に備え(毎日新聞)

さて、
製造業では、
過去最大(最悪)の負債総額4,480億円という倒産は、
決算短信を読んでいたら、
事前に把握できたのでしょうか

はじめに、
平成23年3月期決算短信を読んでみましょう。

平成23年3月期決算短信を読んでみましょう。

平成23年3月期と平成22年3月期の2会計期間において、
営業利益、当期純利益および営業活動によるキャッシュ・フロー、
すべて黒字なので、
まったく問題ありません

そして、
売上高営業利益率は、
5.7%から7.0%に改善されていて、
日本企業の平均的な売上高営業利益率を確保しています

また、
平成23年3月期 の自己資本比率は、
27.8%から32.5%に上昇していて、
倒産の気配は全くありません

以上より、
これだけの数値からだと、
まったく倒産の予兆はないと言えます

したがって、
決算短信の22ページに記載してある「継続企業の前提に関する注記」は、
「該当事項はありません」となっています

ただし、
総資産経常利益率は、
1.5%、
自己資本当期純利益率は、
0.8%で、
日本企業の平均的な値より、
低いので、
エルピーダメモリー社の業態が、
資産効率および資本効率が悪いことがわかります

さて、
今回の会社更生法の適用申請という事実を予兆させる唯一の数値が、
財務活動によるキャッシュ・フローの数値です

平成22年3月期は、
28,850百万円の「プラス」ですが、
平成23年3月期は、
60,457百万円の「マイナス」となっています。

なぜ、
平成23年3月期は、
60,457百万円の「マイナス」なのかを調べるために、
決算短信の21ページに記載してある「連結キャッシュ・フロー計算書」の、
平成23年3月期の財務活動によるキャッシュ・フローを見ると、
「長期借入金による収入」は0百万円ですが、
「長期借入金の返済による支出」は130,196百万円になっています。

つまり、
銀行は、
倒産の危険性があると判断して、
資金の貸し付けをしないで、
貸付金の回収をしていたことがわかります

このような銀行の融資姿勢のために、
今月の2日に発表された平成24年3月期第3四半期決算短信の14ページに記載してある「継続企業の前提に関する注記」は、
「継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在」し、
「継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる」と記載されています

本日(28日)の株式市場によって、
エルピーダメモリー社の株価はストップ安(Yahoo!ファイナンス)になっているそうですが、
エルピーダ社の株主が、
今月の2日に発表された平成24年3月期第3四半期決算短信の14ページに記載してある「継続企業の前提に関する注記」を読んでいれば、
本日まで株式を持っているという事態を避けられたのかもしれません

株主となったら、
その会社が発表する情報については、
チェックをすることが、
自分の財産を守ることになると思います


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確かに驚きはないな [無表情/]まあ製造部門の海外移転とかアウトソーシングしてファブレスに特化とかすりゃ生き残れたかも知れんとは誰しもが言うことだけどさ [・・・/]何から何まで海外にシフトして国内の...
エルピーダ 会社更生法申請【時々時事爺】at 2012年02月28日 22:41