2012年03月01日

節税用として活用されていた保険の税務の扱いが変わります

世の中には、
企業向けに「節税用商品」があります

代表的な「節税用商品」は、
「保険」

「リース」です。

「保険」は、
保険会社から購入をすることができ、
「リース」は、
リース会社から購入することができます。

ご存じではない人に簡単に説明をします

ある企業が、
当初の予想以上に、
儲かってしまったとします

このまま決算を確定してしまうと、
多額な法人税・住民税・事業税を支払うことになります

そこで、
「節税用商品」を購入します。

節税用商品を購入することによって、
決算書上、
費用(損金)が発生するので、
多額な法人税・住民税・事業税の支払を圧縮することができます

もちろん、
この「節税用商品」は、
税法上、
合法です

もっとも、
皆さんの中には、
「結局、
税務署に税金を支払うか、
保険会社やリース会社に支払うかだけの違いで、
会社から資金が流出するという点では、
同じではないか?」と思う人がいると思います

その通りです。

結局、
支払先が違うだけで、
会社から、
資金が流出をしてしまいます。

ただし、
税務署に税金を支払うと、
資金は、
絶対に戻ってきません

しかし、
節税用商品は、
解約したり、
満期が到来することによって、
資金が会社に戻ってくるのです

つまり、
節税用商品を会社が利用する理由は、
「法人税・住民税・事業税という支払う税金を減額でき、
さらに、
将来において、
資金を確保できる」ということになります

もっとも、
節税用商品の購入は、
「当面の対策」であって、
「絶対的な解決策」ではありません

なぜなら、
節税用商品を、
解約したり、
満期が到来したりして、
資金が会社に戻ってくると、
会社の決算書上、
利益(収益)が増えるからです

つまり、
節税用商品は、
「利益の先送り」です。

したがって、
節税用商品を、
解約したり、
満期が到来したりすることによる利益を圧縮するために、
再度、
節税用商品を購入するなど、
新たな対策が必要になります

また、
節税用商品は、
全くのノーリスクではないので、
購入の際には、
保険会社やリース会社の営業担当から話を聞くだけではなく、
顧問契約をしている会計事務所の会計士・税理士と、
相談することをお勧めします

さて、
税務署からすると、
節税用商品を利用されると、
税収が減るので、
税法を改正して、
節税ができなくしようと、
考えます。

昨日ですが、
国税庁より、
パブリックコメントが発表されました

表題は、
以下です。

「法人契約の『がん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障
タイプ)』の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部
改正(案)等に対する意見公募手続の実施について

具体的には、
今まで節税用商品として利用されてきた終身保障タイプの「がん保険」や「医療保険」について、
税務署が、
税務上の取り扱いを変更するので、
今後は、
節税用商品としては活用できなくなるということです

税務上の取り扱い は、
これまでは、
保険料を支払った時点で、
全額を費用(損金)として、
計上できました

ところが、
この改正によって、
保険料を支払った時点で、
費用(損金)として計上できるのは、
半分で、
残り半分は、
資産に計上されることになるので、
節税効果が、
半分になってしまい、
節税用商品としての魅力が失われることになります

この改正が実施されると、
パブリックコメントが公表された昨日(つまり、2012年2月29日を含む)以降に契約された該当の保険契約から、
改正後の税務の処理が適用されるというのが、
保険業界の一般的な見解です。

逆に言えば、
2012年2月28日以前の過去に契約した当該保険契約には、
この改正は、
遡って適用されないのが一般的です。

このように、
税務署は、
法律改正をして、
「節税用商品」をつぶして、
税収が増えるように努力をしているというわけです

もっとも、
「節税用商品」に対する需要は、
確実にあるので、
保険会社は、
新しい「節税用商品」としての保険を発売することになります

つまり、
いたちごっこ」です




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