企業向けに「節税用商品」があります。
代表的な「節税用商品」は、
「保険」
と
「リース」です。
「保険」は、
保険会社から購入をすることができ、
「リース」は、
リース会社から購入することができます。
ご存じではない人に簡単に説明をします。
ある企業が、
当初の予想以上に、
儲かってしまったとします。
このまま決算を確定してしまうと、
多額な法人税・住民税・事業税を支払うことになります。
そこで、
「節税用商品」を購入します。
節税用商品を購入することによって、
決算書上、
費用(損金)が発生するので、
多額な法人税・住民税・事業税の支払を圧縮することができます。
もちろん、
この「節税用商品」は、
税法上、
合法です。
もっとも、
皆さんの中には、
「結局、
税務署に税金を支払うか、
保険会社やリース会社に支払うかだけの違いで、
会社から資金が流出するという点では、
同じではないか?」と思う人がいると思います。
その通りです。
結局、
支払先が違うだけで、
会社から、
資金が流出をしてしまいます。
ただし、
税務署に税金を支払うと、
資金は、
絶対に戻ってきません。
しかし、
節税用商品は、
解約したり、
満期が到来することによって、
資金が会社に戻ってくるのです。
つまり、
節税用商品を会社が利用する理由は、
「法人税・住民税・事業税という支払う税金を減額でき、
さらに、
将来において、
資金を確保できる」ということになります。
もっとも、
節税用商品の購入は、
「当面の対策」であって、
「絶対的な解決策」ではありません。
なぜなら、
節税用商品を、
解約したり、
満期が到来したりして、
資金が会社に戻ってくると、
会社の決算書上、
利益(収益)が増えるからです。
つまり、
節税用商品は、
「利益の先送り」です。
したがって、
節税用商品を、
解約したり、
満期が到来したりすることによる利益を圧縮するために、
再度、
節税用商品を購入するなど、
新たな対策が必要になります。
また、
節税用商品は、
全くのノーリスクではないので、
購入の際には、
保険会社やリース会社の営業担当から話を聞くだけではなく、
顧問契約をしている会計事務所の会計士・税理士と、
相談することをお勧めします。
さて、
税務署からすると、
節税用商品を利用されると、
税収が減るので、
税法を改正して、
節税ができなくしようと、
考えます。
昨日ですが、
国税庁より、
パブリックコメントが発表されました。
表題は、
以下です。
「法人契約の『がん保険(終身保障タイプ)・医療保険(終身保障
タイプ)』の保険料の取扱いについて」(法令解釈通達)の一部
改正(案)等に対する意見公募手続の実施について
具体的には、
今まで節税用商品として利用されてきた終身保障タイプの「がん保険」や「医療保険」について、
税務署が、
税務上の取り扱いを変更するので、
今後は、
節税用商品としては活用できなくなるということです。
税務上の取り扱い は、
これまでは、
保険料を支払った時点で、
全額を費用(損金)として、
計上できました。
ところが、
この改正によって、
保険料を支払った時点で、
費用(損金)として計上できるのは、
半分で、
残り半分は、
資産に計上されることになるので、
節税効果が、
半分になってしまい、
節税用商品としての魅力が失われることになります。
この改正が実施されると、
パブリックコメントが公表された昨日(つまり、2012年2月29日を含む)以降に契約された該当の保険契約から、
改正後の税務の処理が適用されるというのが、
保険業界の一般的な見解です。
逆に言えば、
2012年2月28日以前の過去に契約した当該保険契約には、
この改正は、
遡って適用されないのが一般的です。
このように、
税務署は、
法律改正をして、
「節税用商品」をつぶして、
税収が増えるように努力をしているというわけです。
もっとも、
「節税用商品」に対する需要は、
確実にあるので、
保険会社は、
新しい「節税用商品」としての保険を発売することになります。
つまり、
「いたちごっこ」です。