3月になり、
確定申告のほかに、
贈与の申告とか、
企業の決算とか、
時間が足りなくなる時期ですが、
ブログを書きたくなる記事を発見。
東芝子会社の女性社員、7億着服か…架空発注で(読売新聞)
この読売新聞の記事によると、
東芝グループの照明メーカー「東芝ライテック」社で、
57歳の女性社員が、
10年以上の期間において、
約7億円を着服していた疑いがあることが分かったそうです。
では、
なぜこの着服がばれちゃったかというと、
なんと、
東京国税局が、
東芝ライテック社の税務調査をしたら、
57歳の女性社員が架空の発注をしていることを発見しちゃったようです。
東京国税局、
大金星です。
逆に、
東芝ライテック社の監査役とか、
内部監査室は、
大失態です。。。
この読売新聞の記事から、
着服の方法は、
不明なので、
想像すると、
この女性社員が、
ある会社に外注をしたことにして、
東芝ライテック社宛てに請求書を発行し、
その会社宛てに東芝ライテック社から現金を振り込ませ、
その後に、
この会社の預金口座から、
57歳の女性社員が、
お金を引き出したと思います。
この架空な外注金額が、
10年間で10億円以上という巨額です。
では、
なぜ
10年間という長期間、
ばれなかったのでしょうか
これも、
私の想像ですが、
10年間で10億円ということは、
月平均1,000万円ずつぐらいなので、
毎月、
数回に分けて、
目立たないような小さい金額で、
架空な外注を繰り返していたと思います。
では、
どうやって、
東京国税局は、
税務調査で、
架空の外注を発見したのでしょうか
これも、
私の想像ですが、
発注に対して、
きちんと「モノ」が納品されているのかを確認したのでしょう。
そうしたら、
「モノ」が納品されていないことが判明して、
その後、
東芝ライテック社の社内は、
大騒ぎに発展したことが容易に想像できます。
この着服事件から学ぶべき点は、
1人の人に、
同じ仕事を長期間にわたり、
任せてはいけないということだと思います。
3-5年での配属替えというのは、
不正の防止や発見に効果があるのです。
一方で、
この女性社員は、
57歳。
定年が60歳だとすると、
あと3年ばれなければ、
退職金をもらって、
定年退職となり、
着服もばれなかった。
でも、
人生そんなに甘くはないのです。
この57歳の女性は、
結局、
着服がばれて、
退職金はもらえないし、
残りの人生は、
刑務所で過ごすことになるのかもしれません。
お金とは、
上手に付き合わないといけません。
さて、
この巨額な着服を発見した東京国税局は、
外注費が架空なので、
税務上の費用(損金)にはならないとして、
2011年3月期までの7会計期間について、
追加の税金を納めることになったそうです。
では、
巨額の税金を納付するのかというと、
税務上の赤字の金額があって、
納税は、
重加算税と過少申告加算税で、
約2,800万円と少額だったようです。
東芝ライテック社は、
架空発注が発見でき、
追加の税金も少額だったし、
東京国税局に感謝しないといけません。
税理士の立場からは、
このような事案だと、
過去7年さかのぼって、
追徴するんだなというのが、
新鮮な発見です。
通常の税務調査だと、
3-5年が一般的です。
それから、
この記事から改めて認識するべきことは、
儲かっていない赤字の会社にも、
税務調査はあるということです。
赤字の会社に対して、
税務調査を実施しても、
法人税等の徴収はできない場合が多いと思います。
しかし、
事業規模が大きければ、
(東芝ライテック社の資本金は、
100億円)
今回の場合のように、
赤字を圧縮したり、
消費税や源泉所得税、印紙税といったほかの税金で、
税金の回収ができることがあるのです。
したがって、
「うちの会社は赤字だから、
税務調査は、
絶対にない!」とは、
断言できないということになります。