2012年04月10日

日本経済新聞社の税務調査から学べること

毎日新聞のサイトに、
日本経済新聞社の税務調査の結果が、
報道されています

記事の表題は、
以下となっています。

日本経済新聞社:1200万円の所得隠し 修正申告し納付(毎日新聞)

この記事の表題だけを見ると、
一般の人はどのように感じるかは不明ですが、
われわれのような実務をしている専門家は、
所得隠しをしたことは良くないけど、
日本経済新聞社のような規模の会社が、
1,200万円ぐらいの問題点しか指摘されなかったのであれば、
軽傷ではないかというのが、
正直な感想です

しかし、
この記事を読むと、
表題が不適切ではないかと思ってしまします

以下、
その理由です。

日本経済新聞社は、、
 2010年12月期までの3年間について、
東京国税局の税務調査を受けたそうです。

結局、
国税局の指摘を受けた金額は、
経理ミスなどを合わせて、
約3億3,000万円あったそうです

つまり、
表題の約1,200万円というのは、
この 約3億3,000万円 の一部のようです。

では、
なぜこの1,200万円が表題になってしまったかというと、
この1,200万円は、
取材費として経費に計上していたけど、
損金に算入できない交際費に該当すると、
国税局に認定された金額だそうです。

つまり、
国税局としては、
この1,200万円については、
仮装・隠ぺいの疑いがあり、
悪質と判断したことになります

そこで、
毎日新聞としては、
1,200万円を表題にしたのでしょう。

しかし、
個人的には、
約3億3,000万円の所得の漏れがあったことが重大で、
この約3億3,000万円を記事の表題にするべきだったと思います

なお、
重加算税などを含めた追徴税額は約900万円だそうです。

なぜ、
申告漏れの総額が、
約3億3,000万円 もあったのに、
重加算税などを含めた追徴税額は約900万円 で済んだのでしょうか?

私個人の推定ですが、
税務上の赤字が、
多額にあったので、
この約3億3,000万円と、
税務上の赤字を相殺した結果、
税金の対象となる所得は、
ぐっと少額になり、
そのために、
重加算税などを含めた追徴税額は約900万円 で済んだのでしょう

おそらく、
税務上の赤字は、
3億1,500万円ぐらいあったと推定できます。

さて、
日本経済新聞社は、
追加で納付する税金の金額が約900万円と少なかったから、
喜んでいるというわけではないと思います。

なぜなら、
当面は、
税務上の赤字があるから、
法人税等の納税が不要だという資金の計画をしていたのに、
税務上の赤字がなくなってしまい、
今後は、
納税をしないといけないというのは、
資金的に痛いからです

また、
今回の日本経済新聞社の税務調査からわかるように、
いわゆる赤字の会社にも、
税務調査はあります

今回の調査でも、
日本経済新聞社の税務上の赤字を減らし、
重加算税などの徴収ができたので、
国税局としては、
大金星でしょう

さて、
明日から2週間、
お客様の会社の税務調査です。

がんばります



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